ボーダー
〈メイside〉
FBI本部から、蓮太郎と2人で家に帰った。
「腹減ったろ?
すぐ作るから。
出来たら呼ぶから、それまでゆっくりしてな。
いろいろあって疲れたろ?」
蓮太郎にそう言われたから、部屋に戻った。
独りになると、村西さんと、珠美 由理さん、憧れの宝月巴さんに言われたことを思い返す。
すると、答えが出てしまった。
自分が、これから検事としてどう生きるか。
仮に、蓮太郎と恋仲になって、いずれは同じ苗字になって。
国籍をアメリカから日本に変えるとしても、それはこれからの人生の指針になる。
"カンペキな勝利"なんかではなく、"真実を追求する"検事になるんだ。
「パパ……
ひぐっ…ごめんね……」
また涙が出てきた。
パパのことではもう泣かないって、お葬式の日に誓ったのに。
蓮太郎に見られたら、心配かけちゃうな。
泣かないようにしよう。
でも、人間の身体とは不思議なもので、泣いてはいけないと思うと、余計に涙が出てくるものなのだ。
蓮太郎に甘えれば、泣き止むことは出来る。
それでいいのか。
いつかは、また蓮太郎と遠距離恋愛になる。
そのときに、自分のネガティブな感情を自分でコントロールできないと、きっと困る場面も出てくるだろう。
「……メイ?」
そんなことを考えていると、タイミング悪く、蓮太郎の低い声が鼓膜を震わせた。
弾かれたように、蓮太郎を見る。
着替えればいいのに、帰ってきたときの服装のままだ。
「れん……
ふぇっ……」
もはや、彼の名前すら呼べていないまま、嗚咽を漏らす。
そんなことは気にせずに泣けと態度で示されてるみたいだ。
ぎゅっと強く抱きしめられる。
身体が密着したことで、蓮太郎の下半身にある女性にはない部位が多少なりとも当たる。
大きさを増しているのが、私に欲情しているせいのなら、こんなに嬉しいことはないのだが。
「どーした?メイ。
話なら聞くよ?
ゆっくりでいいから、話してみ?」
「私、分かっちゃった……
真相を追求するスタイルの検事として、これから……やってきたい……!
パパ……えっと……
もう……この世にいない人の背中を、追うのはやめる……!
自分らしい、検事になるの……!」
自分の気持ちを言い切ると、言えた自分に安心したのか、涙が溢れてきた。
蓮太郎は、私を抱き締めたまま、背中を優しく叩いてくれた。
その温もりは、今はもういない母親を思い出させた。
「メイの父親は、ちゃんとここで生きてるって。
……心配するな?
メイらしい、いい検事になれるように、オレが側にいてサポートしてやれれば、いいなって思うからさ。」
軽く胸元を指差す。
その行為は夜に行う予定のハジメテの行為を連想させるには十分で。
普段は下着で盛ってるから、今は素の大きさを晒してしまっている。
大きくないとか、思われたらどうしよ。
それに、『オレが側にいてサポートしてやれれば、いいなって思う』
って言う台詞は少なからず、関係を進めたい、ってことだよね?
額に、柔らかい唇の感触。
それを感じたのは一瞬だけで。
蓮太郎はいつの間にか部屋を出ていってしまった。
FBI本部から、蓮太郎と2人で家に帰った。
「腹減ったろ?
すぐ作るから。
出来たら呼ぶから、それまでゆっくりしてな。
いろいろあって疲れたろ?」
蓮太郎にそう言われたから、部屋に戻った。
独りになると、村西さんと、珠美 由理さん、憧れの宝月巴さんに言われたことを思い返す。
すると、答えが出てしまった。
自分が、これから検事としてどう生きるか。
仮に、蓮太郎と恋仲になって、いずれは同じ苗字になって。
国籍をアメリカから日本に変えるとしても、それはこれからの人生の指針になる。
"カンペキな勝利"なんかではなく、"真実を追求する"検事になるんだ。
「パパ……
ひぐっ…ごめんね……」
また涙が出てきた。
パパのことではもう泣かないって、お葬式の日に誓ったのに。
蓮太郎に見られたら、心配かけちゃうな。
泣かないようにしよう。
でも、人間の身体とは不思議なもので、泣いてはいけないと思うと、余計に涙が出てくるものなのだ。
蓮太郎に甘えれば、泣き止むことは出来る。
それでいいのか。
いつかは、また蓮太郎と遠距離恋愛になる。
そのときに、自分のネガティブな感情を自分でコントロールできないと、きっと困る場面も出てくるだろう。
「……メイ?」
そんなことを考えていると、タイミング悪く、蓮太郎の低い声が鼓膜を震わせた。
弾かれたように、蓮太郎を見る。
着替えればいいのに、帰ってきたときの服装のままだ。
「れん……
ふぇっ……」
もはや、彼の名前すら呼べていないまま、嗚咽を漏らす。
そんなことは気にせずに泣けと態度で示されてるみたいだ。
ぎゅっと強く抱きしめられる。
身体が密着したことで、蓮太郎の下半身にある女性にはない部位が多少なりとも当たる。
大きさを増しているのが、私に欲情しているせいのなら、こんなに嬉しいことはないのだが。
「どーした?メイ。
話なら聞くよ?
ゆっくりでいいから、話してみ?」
「私、分かっちゃった……
真相を追求するスタイルの検事として、これから……やってきたい……!
パパ……えっと……
もう……この世にいない人の背中を、追うのはやめる……!
自分らしい、検事になるの……!」
自分の気持ちを言い切ると、言えた自分に安心したのか、涙が溢れてきた。
蓮太郎は、私を抱き締めたまま、背中を優しく叩いてくれた。
その温もりは、今はもういない母親を思い出させた。
「メイの父親は、ちゃんとここで生きてるって。
……心配するな?
メイらしい、いい検事になれるように、オレが側にいてサポートしてやれれば、いいなって思うからさ。」
軽く胸元を指差す。
その行為は夜に行う予定のハジメテの行為を連想させるには十分で。
普段は下着で盛ってるから、今は素の大きさを晒してしまっている。
大きくないとか、思われたらどうしよ。
それに、『オレが側にいてサポートしてやれれば、いいなって思う』
って言う台詞は少なからず、関係を進めたい、ってことだよね?
額に、柔らかい唇の感触。
それを感じたのは一瞬だけで。
蓮太郎はいつの間にか部屋を出ていってしまった。