ボーダー

一夜

そう訴えた後、軽々とベッドに押し倒された。

そうしながらも、キスはしてくる。
だんだん舌が入ってきて、苦しくなってきたので、そっと蓮太郎の胸板を押した。

「昨日の夜から……
ううん、ホントはずっと前から、蓮太郎としたかった……」

再び唇を塞がれた。

もう3回目。
角度を変えられて深くなるキスを、入ってくる舌の感触を素直に受け入れた。

本当に、好きな人とするキスって、こんなに幸せなんだ。
幸せすぎて、今なら空でも飛べるんじゃないかとさえ思う。

「煽ってるの?メイ。
オレの前でそんなこと言ってさ。
マジで理性保たない。
優しくしたいけど、めちゃくちゃに抱きそう。」

ぎゅっと抱きしめられる。
いつの間にか着ていたオールインワンは脱がされていて、蓮太郎もタンクトップと下着のみ。

「いいよ?
蓮太郎だもん。

幸せなハジメテの記憶に上書きしてほしい。」

私がそう言うと、優しく微笑んだ蓮太郎によって慣れた手付きでホックが外された。

「脱がせかけって一番エロい。
ってか、下着姿がエロいし可愛い。」

黒い下着だけど、うっすら花柄で、しかもレースもふんだんに使われているデザイン。
下着、私は黒が9割だから、必然的にこうなる。

「あっ……ん……!」

下着を完全に外されて、今まで覆われていた膨らみが露わになる。
ゆっくり触られて、舌で刺激されて、つい声が漏れる。
私の声じゃないみたいで、それにも驚く。

こんなに声が出るなんて、アイツの前ではあり得なかった。
蓮太郎だから、本当に好きな人とだから、なんだ。

「メイ、可愛い。
俺、メイの大きさが好きだ。
大きすぎず小さすぎず、ちょうどいい感じ。」

一応、Cはある。合格点らしい。
これで合格点なら、普段から分厚いパッドの下着で盛らなくても良い、かな……。

私の身体にあるアザの痕。
それを消すように、唇を這わせてくれる。
こんな忌々しい痕はオレが消してやるとでも言うように。

「んぁ!」

いつの間にか下の布も脱がされていた。
久しぶりに感じる指と下を刺激される感触に、いちいち身体がピクン、と動く。

「可愛いね、メイ。
かなり前からこういう展開期待してたの?

オレの方もメイが可愛いから準備万端だよ。」

いつの間にか、蓮太郎も下着を脱いでいた。

彼の手が私の手を誘導して、彼自身の熱に触れた。

溢れる透明なものが、蓮太郎自身が私に欲情している印だ。
そして、準備万端の合図。
私に背を向けて、何やらしている。
おそらく、無計画な妊娠で私の人生が崩れないようにの配慮だろう。

もちろん、私の家にはない。
いつの間に準備していたのだろうか。

蓮太郎……優しいなぁ。

こんなときでも。
だから好きなの。

「メイ、いくよ?いい?」

私も、早く蓮太郎の熱がほしい。

「はやくっ……ほしいよ、蓮太郎……」

蓮太郎が深く唇を重ねてきたと同時に、走った鋭い痛み。
この痛みも久しぶりだ。

ただ、幸福感はこちらが断然上。
桁が違う。

「キツ……でも、あったかいよ、メイ。
身体もちゃんと欲しがってくれてる。」

「蓮太郎だって。
熱いよ……」

「平気?」

唇を離したあと、蓮太郎が心配そうに私の顔を覗き込んでくる。

「ん?涙出てるから。
痛いならやめるよ?」

やめないでというせめてもの抗議の印に、私からキスをした。

「煽るなよ、メイ……
とまんね……」

彼の舌が入ってくると、また一段と彼の熱が増した。

「メイだけ、はさせないよ?
2人で一緒、な?」

何度も突き上げられた後、身体がまるでジェットコースターに乗って急降下するような感覚に襲われた。

「っ、メイ、やべっ……!」

その後すぐに、蓮太郎も一気に脱力した。
薄い膜越しに彼の熱を感じた。
今でさえ熱いのだ。
直の熱さを、いつかは感じられるだろうか。
そのいつかに思いを馳せていると、いつの間にやら熱は感じなくなっていた。

身体はまだふわふわした高揚感に包まれているままだ。
ごく優しい力で、彼に抱きしめられた。
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