ボーダー
オレは、ハナの出身の学校に向かった。
聞きたいことがあったからだ。
鈴原先生から、ハナが昔いじめられてたことを知った。
今日知ったことはそれだけではない。
亡くなったハナの祖母は、高い魔力を持っていて、この魔導学校の元校長だったという。
霧生 菜々美と帳 奈斗、そして一木 有海は学級裁判によって退学になった事も知った。
そして、帳 奈斗に一番従順なのが、その一木 有海《いちき あみ》だという。
従順さは、好意にもなり得る。
どちらかへの片想いかもしれないが、好き、なのか。
片想いだということは、まことしやかに囁かれている噂ではあったが、気になるので脳内メモリに記憶しておこう。
他人様の色恋沙汰なんて、興味はないのだが。
魔法の力を使える男女が恋愛関係になって、キスのその先の行為をすると、稀にだがお互いの能力が移るという情報も得た。
さらに、どんなに魔法の力が小さいうちは強くても、歳を取るごとに魔力に身体が適応できなくなっていくようだ。
そうなると、徐々に魔力は失われていく。
ハナ辺りは、強い魔力の持ち主だ。
身体の成長具合に、魔力が合わなくなる可能性が高そうな筆頭だ。
早くて、限界が来るのは高校生のうちか。
そのハナが来ていて、とっくに帰ったとも知らず、パソコン室にいたオレ。
気付けば、かなり時間が経っていた。
さて、そろそろ帰るか……。
そのとき。
オレのポケットから光を発する何かが。
それを取り出すと、光っているのはハナがくれたブローチだ。
『ミツ……助けて……』
声が聞こえる。
テレパシー機能まであるのか?
このブローチ……
驚いている場合ではない。
ハナに何かあったのか?
「優くん!ハナちゃんが……」
鈴原先生がタロットカードと水晶玉を持って呼ぶ。
「私、"ハナちゃんに言ったのよ。
"白いワンボックスカーに注意"してって……」
水晶玉を覗くと、車にハナを連れ込む3人の男の様子が見えた。
男の手にはスタンガンがあった。
ハナは意識がないっぽい。
ゼッタイ、犯す気だ。
そんなことはさせない。
レンと、約束したのだ。
ハナを守ると。
……待ってろ、ハナ!!
オレが、守ってやる!!
……はぁはぁと息を切らしながら、自転車のペダルを必死に漕ぐ。
そうしていると、1羽のハトが、オレの自転車のかごにとまった。
そして、パタパタと羽ばたく。
こんなふうに自然や動物を仕向けられるのは、今オレが捜している女以外はいない。
素直に、そのハトの後を追う。
やっと見えた。
あの白いワンボックスカーだ。
車の窓は樹木によって突き破られ、男は木の枝に捕らわれている。
魔力を使い果たしたのと恐怖とで、意識が朦朧としているハナはすでに全裸に近い状態にされていた。
遅かったか……
ごめんな。ハナ。
さすが、自然と対話できる女だ。
自然……木や花、鳥など、あらゆる動植物の気持ちを感じ取って対話することができるのが、ハナの特殊能力。
鈴原先生が呼んだであろう警察のパトカーが来る前に、彼女を車の後部座席から運び、自転車の荷台に乗せた。
警官に、好きな女のあられもない姿を晒すなんて、オレが許せなかった。
オレの制服のジャケットを脱いで、そっとハナの身体にかけてやる。
オレはすぐさま伊達さんに電話をした。
『分かった。
今、その近くにいるからすぐに着ける。
心配するな、明日香も一緒だ。
こういうことは、女性が居たほうがいいから。
ちょっと待っていてくれ。』
電話は、その言葉を残して切られた。
聞きたいことがあったからだ。
鈴原先生から、ハナが昔いじめられてたことを知った。
今日知ったことはそれだけではない。
亡くなったハナの祖母は、高い魔力を持っていて、この魔導学校の元校長だったという。
霧生 菜々美と帳 奈斗、そして一木 有海は学級裁判によって退学になった事も知った。
そして、帳 奈斗に一番従順なのが、その一木 有海《いちき あみ》だという。
従順さは、好意にもなり得る。
どちらかへの片想いかもしれないが、好き、なのか。
片想いだということは、まことしやかに囁かれている噂ではあったが、気になるので脳内メモリに記憶しておこう。
他人様の色恋沙汰なんて、興味はないのだが。
魔法の力を使える男女が恋愛関係になって、キスのその先の行為をすると、稀にだがお互いの能力が移るという情報も得た。
さらに、どんなに魔法の力が小さいうちは強くても、歳を取るごとに魔力に身体が適応できなくなっていくようだ。
そうなると、徐々に魔力は失われていく。
ハナ辺りは、強い魔力の持ち主だ。
身体の成長具合に、魔力が合わなくなる可能性が高そうな筆頭だ。
早くて、限界が来るのは高校生のうちか。
そのハナが来ていて、とっくに帰ったとも知らず、パソコン室にいたオレ。
気付けば、かなり時間が経っていた。
さて、そろそろ帰るか……。
そのとき。
オレのポケットから光を発する何かが。
それを取り出すと、光っているのはハナがくれたブローチだ。
『ミツ……助けて……』
声が聞こえる。
テレパシー機能まであるのか?
このブローチ……
驚いている場合ではない。
ハナに何かあったのか?
「優くん!ハナちゃんが……」
鈴原先生がタロットカードと水晶玉を持って呼ぶ。
「私、"ハナちゃんに言ったのよ。
"白いワンボックスカーに注意"してって……」
水晶玉を覗くと、車にハナを連れ込む3人の男の様子が見えた。
男の手にはスタンガンがあった。
ハナは意識がないっぽい。
ゼッタイ、犯す気だ。
そんなことはさせない。
レンと、約束したのだ。
ハナを守ると。
……待ってろ、ハナ!!
オレが、守ってやる!!
……はぁはぁと息を切らしながら、自転車のペダルを必死に漕ぐ。
そうしていると、1羽のハトが、オレの自転車のかごにとまった。
そして、パタパタと羽ばたく。
こんなふうに自然や動物を仕向けられるのは、今オレが捜している女以外はいない。
素直に、そのハトの後を追う。
やっと見えた。
あの白いワンボックスカーだ。
車の窓は樹木によって突き破られ、男は木の枝に捕らわれている。
魔力を使い果たしたのと恐怖とで、意識が朦朧としているハナはすでに全裸に近い状態にされていた。
遅かったか……
ごめんな。ハナ。
さすが、自然と対話できる女だ。
自然……木や花、鳥など、あらゆる動植物の気持ちを感じ取って対話することができるのが、ハナの特殊能力。
鈴原先生が呼んだであろう警察のパトカーが来る前に、彼女を車の後部座席から運び、自転車の荷台に乗せた。
警官に、好きな女のあられもない姿を晒すなんて、オレが許せなかった。
オレの制服のジャケットを脱いで、そっとハナの身体にかけてやる。
オレはすぐさま伊達さんに電話をした。
『分かった。
今、その近くにいるからすぐに着ける。
心配するな、明日香も一緒だ。
こういうことは、女性が居たほうがいいから。
ちょっと待っていてくれ。』
電話は、その言葉を残して切られた。