ボーダー
まだ意識のないハナを、強く抱きしめる。
しばらくして、伊達さんの車が来て、ハナとオレを後部座席に乗せてくれた。
オレの自転車はトランクに入れてくれた。
その後に、パトカーが到着した。
男たちは、手錠を掛けられ、パトカーに乗せられていった。
日を改めて交番に来るように言われた。
ハナはオレの家に着いたころに意識を取り戻し、しばらくオレの腕の中で泣き崩れていた。
……ヤバい。
こんなときなのに、泣いてるハナを可愛いと思ってしまう。
明日香さんは、ハナの家に服を取りに行ってくれている。
オレってダメだなぁ。
好きな女一人もろくに守れない。
しばらくして、明日香さんがようやく落ち着いたハナに服を着せてやり、制服の修理を終わらせてくれた。
伊達さんと二人で帰っていった。
「ハナ……ホントごめん。
オレ、幼なじみ失格だよなぁ。」
オレは彼女の返事を待たずに、ベッドにそっと寝かせるように押し倒す。
戸惑う彼女。
それはそうだろう。
あんなことをされた後だ。
この反応が正しい。
その声を塞ぐように、そっと唇を重ねる。
「ん……」
彼女はなぜか、抵抗してこない。
そのまま舌を絡める。
それでも、彼女は嫌がる素振りを見せない。
「ミツ……」
「癒して?」
衝撃の一言だった。
「お前、何言って……
何されたかわかってる?」
「お願い……」
上目づかいで見上げてくる。
オレも、まだ中学生だけど……一応、男だぜ?
第二次性徴こそまだで、妊娠させられない。
それでも、欲情はする。
そんなこと、言うなよな?
「ホントにいいの?」
ハナがゆっくり頷く。
「無理すんなよ?
ハナ……心から笑ってない笑顔ばっかり見たくないし……な?」
そう言うと、ハナはオレの手を握ってきた。
オレもそれを強く握り返す。
異性の、一糸纏わぬ女の身体を、初めて見る。
胸は少し出てきている。
そっと上から優しく触って、唇を重ねる。
うっすらある毛をかき分けて、オレの股の間にあるものを、そっと入れる。
「あっ……」
ハナを優しく抱きしめてから、とびきり甘い時間を過ごした。
……レンに、謝らなきゃな。
アメリカで頑張っているであろう、もう1人の幼なじみ。
彼に何を言おうか考えながら、眠ってしまっている彼女に腕枕をする。
すっかり安心しきって、あどけない寝顔をオレに見せるハナ。
……こんなに可愛い女を、守りきれなかったのはオレの落ち度だ。
この瞬間から、一生かけて、償ってやる覚悟でいる。