ボーダー
「もちろんです。
もし、宝月グループの後継者なら、私も目立ちすぎないように、影で彼を支えられる存在になりたいと思っています。
ちゃんと、その年齢になったらその時は、ちゃんと彼の家の名字を名乗りたいです。

あともう1つ。
……アメリカの国籍には今までありがとうとお礼を言わせてもらうことにします。
蓮太郎と同じ、日本の国籍に変えて、ずっと一緒にいられるようにします。」

「そこまで思ってくれてるなら、心強いわ。
こんな孫だけど、よろしくね?」

「こんな可愛くて美人な女性が奥さんとは。
我が孫ながら羨ましいよ。
困ったら遠慮なく話してくれ。
出来る事なら何でもするよ。」

「ありがとうございます。」

かなり迷った時期もあった。
国籍をアメリカから日本にすること。
でも、それをしない選択肢はなかった。

蓮太郎と同じ苗字になりたいと強く思うようになってから、心は決まった。
アメリカの国籍を残す考えなんて最初から私の頭には存在しなかったかのようだった。

普通の人ならもう少し、決断するのに時間が掛かるだろう。
しかし、蓮太郎のおかげで、スムーズな決断ができた。

彼には感謝しかない。

蓮太郎の祖母からお寿司とざる蕎麦をご馳走になってしまった。

その後、蓮太郎の2番目のお姉さん、茜さんも家にやってきた。

「あ、メイさんだ!
お久しぶりです!
覚えてますか?
レンの姉の茜です!

日本でカガク捜査官してるんですけど、少し仕事で煮詰まってることもあって相談と、改めてお世話になったお礼を言いに、帰って来たんです!
おじいちゃん、おばあちゃんも!
久しぶり!」

蓮太郎の2番目の姉は、その場の雰囲気を明るくさせてくれる雰囲気の持ち主だ。

彼女は蓮太郎と少し話してくる、と告げて、書斎に続く階段を軽いステップで昇っていく。

20分ほど経っただろうか。
蓮太郎のお姉さん2人によって、買い物に連れられることになった。
蓮太郎とのデートの約束もあるのに。
そのことを、書斎へ続く階段を上がり、彼のいる部屋のドアから伝える。

「あの、蓮太郎……
お姉さんたちと、買い物してくることになったんだけど……」

「あー、悪いな、メイ。
姉さんたちがさ、オレの彼女と買い物がてら、話したいこともたくさんあるみたいなんだ。

どうせ結婚したら義理の姉になるんだ、付き合ってやって?」

蓮太郎……!
さらっとそのワード言わないで!
どうしても意識しちゃうじゃん!

「もう……
蓮太郎ったら!
まぁ、婚姻可能年齢になったらそうなれるなら嬉しいことはないけど……」

これは私の本音だ。

「とにかく、行ってくるわ、蓮太郎。」

茜さんに腕を引っ張られながら、車に乗せられる。

着いた先は私の家。
ここなら男の目はないからと、シャツワンピースから青いキャミソールワンピースに着替えさせられる。
メイクとアクセサリーまで派手なものに変えさせられた。

一体どこに行くんだろう。
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