ボーダー
翌朝。
実は、昨日、ニューヨーク5番街に行く前に、私の家に寄ってワンピースに着替え、メイクもしてもらったついでに、ホテルに泊まることを見越して翌日の着替えを持ってきていた。
それに着替える。
丈がかなり短いロンパース。
蓮太郎、丈が短い、って怒るかな?
シャワーを浴びた後なのか、濡れた髪で蓮太郎が出てきた。
水も滴るいいオトコ、というのは彼のための言葉なのではと思うほどだ。
「もう、蓮太郎!
風邪引くよ?」
ドライヤーを脱衣所から引っ掴んで、髪を乾かす。
「メイ、乾かしてくれるの?
朝から可愛い婚約者の膝枕で髪乾かしてもらえるって、最高。
眺めいいし。
服の下、今のオレの角度からだと見えそう、ってかチラ見えしてるよ?」
「もう!蓮太郎ったら!」
朝からハレンチなことを言う婚約者にはお仕置きだ。
髪にドライヤーをわざと触れないくらいの位置で近づけた。
「熱い!
ごめん、メイ。
まだ慣れてないのに、ごめん。
こういう話題。
でも、男は仕方ないの。」
蓮太郎の手が、私の空いた左手を、自分のスウェットの真ん中に誘導した。
「朝だからね?
分かるよね、頭脳明晰なフィアンセさん。」
顔を真っ赤にしながら何度か頷く。
蓮太郎はよしよしとするようにリズムよく頭を撫でてくれた。
軽く化粧をして、婚約者から誕生日プレゼントに貰ったピアスをホールに通す。
「まとめて送る。
準備できたら出てこい、後々夫婦になるラブラブカップル!」
ノックと共に聞こえた村西さんの声を合図にして、ホテルの部屋から出た。
時刻は6時25分。
日本に発つという蓮太郎を見送る。
私以外の面々と別れを惜しむ蓮太郎。
この数日間、いろいろなことがありすぎた。
蓮太郎に抱かれたり、彼の姉にアドバイスを貰ったり。
蓮太郎が宝月グループの後継者だと判明したりもした。
何より、彼にプロポーズされたのはかなり感激だった。
私はあと1年、彼はあと2年待たないといけないけれど。
「……蓮太郎!」
いろいろな思いがこみあげてきて、泣きそうなのがバレないように、蓮太郎に抱きついた。
私の背中に腕を回して強く抱きしめてくれた。
「メイ。
アイツらを捕まえたら、オレもそっちに行くから。
待っててな。
オレの幼馴染みの男女も連れて行く。
その2人に、オレの婚約者だ、って紹介するよ。
それで、お互いに18歳になったら籍入れよう。
何なら、婚姻届をインターネットでダウンロードして書く練習しとくか。」
嬉しいことを言ってくれる。
ボールペン字でも習っておこうかな。
「蓮太郎!
もうすぐだぞ!」
もうすぐ、本当にお別れだ。
しばらく会えないなんて寂しすぎる。
「メイ。」
彼は抱き締める手を緩めることなく、私にキスをしてくれた。
1回目は物足りないくらい優しいもの。
2回目は舌を絡める激しいキス。
キスをしながら、ごく軽く胸の膨らみを触られた。
いつもなら軽く怒るが、これさえも愛しい。
しばらく会えないのだ。
むしろもう少し強く触ってくれてもよかった。
……昨日のホテルでの夕食のとき、茜さんと巴さんから聞いたこと。
実は彼女たちの弟は蓮太郎だけじゃなくてもう1人いるらしい。
代々、宝月の血を引く男は3大欲求のうち、性欲は相当に強いようだ。
蓮太郎と結婚するからには覚悟したほうがいいと言われた。
巴さんも茜さんもお酒の力にあてられていたから、本心かは分からないが、覚悟はとっくに出来ている。
なにしろ、さっきのホテルでのドライヤーのくだりでも実証されているのだ。
……大丈夫。
アフターピルのおかげか、無事に生理は来ているのを、つい先程、ホテルの部屋を出る前に確認した。
これで、きちんと心置きなく、婚約者の遺伝子を持つ子供をお腹に宿せることになる。
何なら本当に、籍を入れた翌年に家族を増やしてもいいくらいだ。
唇は離されて、そのまま私の耳元で何やら囁かれた。
キスの前に、名前を呼んでくれたことを覚えている。
それの続きかな?
早くて聞き取れなかった。
《まもなく7時25分発303便日本行きの,搭乗を開始します。
チケットをお持ちの方は、ゲート前にお越しください。》
本当に時間切れのようだ。
私の頭を軽く撫でると、蓮太郎は寂しくならないようにこちらを振り返ることなくゲートに入った。
彼を見送ったあと、私の携帯電話がメールを受信した。
『メイ、愛してる』
さっき囁かれたのは、一時離れることになる私への愛の言葉だった。
実は、昨日、ニューヨーク5番街に行く前に、私の家に寄ってワンピースに着替え、メイクもしてもらったついでに、ホテルに泊まることを見越して翌日の着替えを持ってきていた。
それに着替える。
丈がかなり短いロンパース。
蓮太郎、丈が短い、って怒るかな?
シャワーを浴びた後なのか、濡れた髪で蓮太郎が出てきた。
水も滴るいいオトコ、というのは彼のための言葉なのではと思うほどだ。
「もう、蓮太郎!
風邪引くよ?」
ドライヤーを脱衣所から引っ掴んで、髪を乾かす。
「メイ、乾かしてくれるの?
朝から可愛い婚約者の膝枕で髪乾かしてもらえるって、最高。
眺めいいし。
服の下、今のオレの角度からだと見えそう、ってかチラ見えしてるよ?」
「もう!蓮太郎ったら!」
朝からハレンチなことを言う婚約者にはお仕置きだ。
髪にドライヤーをわざと触れないくらいの位置で近づけた。
「熱い!
ごめん、メイ。
まだ慣れてないのに、ごめん。
こういう話題。
でも、男は仕方ないの。」
蓮太郎の手が、私の空いた左手を、自分のスウェットの真ん中に誘導した。
「朝だからね?
分かるよね、頭脳明晰なフィアンセさん。」
顔を真っ赤にしながら何度か頷く。
蓮太郎はよしよしとするようにリズムよく頭を撫でてくれた。
軽く化粧をして、婚約者から誕生日プレゼントに貰ったピアスをホールに通す。
「まとめて送る。
準備できたら出てこい、後々夫婦になるラブラブカップル!」
ノックと共に聞こえた村西さんの声を合図にして、ホテルの部屋から出た。
時刻は6時25分。
日本に発つという蓮太郎を見送る。
私以外の面々と別れを惜しむ蓮太郎。
この数日間、いろいろなことがありすぎた。
蓮太郎に抱かれたり、彼の姉にアドバイスを貰ったり。
蓮太郎が宝月グループの後継者だと判明したりもした。
何より、彼にプロポーズされたのはかなり感激だった。
私はあと1年、彼はあと2年待たないといけないけれど。
「……蓮太郎!」
いろいろな思いがこみあげてきて、泣きそうなのがバレないように、蓮太郎に抱きついた。
私の背中に腕を回して強く抱きしめてくれた。
「メイ。
アイツらを捕まえたら、オレもそっちに行くから。
待っててな。
オレの幼馴染みの男女も連れて行く。
その2人に、オレの婚約者だ、って紹介するよ。
それで、お互いに18歳になったら籍入れよう。
何なら、婚姻届をインターネットでダウンロードして書く練習しとくか。」
嬉しいことを言ってくれる。
ボールペン字でも習っておこうかな。
「蓮太郎!
もうすぐだぞ!」
もうすぐ、本当にお別れだ。
しばらく会えないなんて寂しすぎる。
「メイ。」
彼は抱き締める手を緩めることなく、私にキスをしてくれた。
1回目は物足りないくらい優しいもの。
2回目は舌を絡める激しいキス。
キスをしながら、ごく軽く胸の膨らみを触られた。
いつもなら軽く怒るが、これさえも愛しい。
しばらく会えないのだ。
むしろもう少し強く触ってくれてもよかった。
……昨日のホテルでの夕食のとき、茜さんと巴さんから聞いたこと。
実は彼女たちの弟は蓮太郎だけじゃなくてもう1人いるらしい。
代々、宝月の血を引く男は3大欲求のうち、性欲は相当に強いようだ。
蓮太郎と結婚するからには覚悟したほうがいいと言われた。
巴さんも茜さんもお酒の力にあてられていたから、本心かは分からないが、覚悟はとっくに出来ている。
なにしろ、さっきのホテルでのドライヤーのくだりでも実証されているのだ。
……大丈夫。
アフターピルのおかげか、無事に生理は来ているのを、つい先程、ホテルの部屋を出る前に確認した。
これで、きちんと心置きなく、婚約者の遺伝子を持つ子供をお腹に宿せることになる。
何なら本当に、籍を入れた翌年に家族を増やしてもいいくらいだ。
唇は離されて、そのまま私の耳元で何やら囁かれた。
キスの前に、名前を呼んでくれたことを覚えている。
それの続きかな?
早くて聞き取れなかった。
《まもなく7時25分発303便日本行きの,搭乗を開始します。
チケットをお持ちの方は、ゲート前にお越しください。》
本当に時間切れのようだ。
私の頭を軽く撫でると、蓮太郎は寂しくならないようにこちらを振り返ることなくゲートに入った。
彼を見送ったあと、私の携帯電話がメールを受信した。
『メイ、愛してる』
さっき囁かれたのは、一時離れることになる私への愛の言葉だった。