ボーダー
由紀、パスタとパンだけでいいの?
ペットボトルのカフェオレ。
「由紀、それだけでいいの?
もっと食えばいいのに。
そんなんじゃ、近い将来か遠い将来かは分かんないけど、キス以上のことしたときに抱き心地良くないだろうから反対だな。」
「ちょ、将輝ったら!
何てこと言うの……!」
顔を真っ赤にしながらパスタが入っているビニールを破るのが可愛い。
「んー?
ホントのことじゃん。
……俺としては、早く由紀のこと、ベッドの上でとろとろに甘やかしたいんだけどね。」
「もう!
照れるじゃん!」
ムキになって、パスタを持って病室の外に出る由紀。
きっと、ラウンジにある電子レンジでパスタに熱を通すのだろう。
……俺が行けば良かったかな。
Vネックの薄手の黄色いニットに、ベージュのスカート。
可愛いけど、そんな可愛い格好をした由紀を見た俺以外の野郎が欲情しないとも限らない。
細い身体の割に、胸はある。
長い入院生活でそっちの欲を持て余した奴らにとっては格好の餌だろう。
鼻歌をうたいながら上機嫌で病室に戻って来た由紀。
「お待たせ、将輝。」
パスタをテーブルに置いた由紀を、後ろからそっと抱きしめた。
「よかった。
不埒な輩に襲われてたりしてないか、心配だったからさ。」
「ありがと、心配してくれて。
優しい彼氏を持てて幸せ。」
後ろから由紀のうなじにキスを落とした。
俺はその後すぐに、空いた方のテーブルに運ばれた病院食のトレーを置いた。
こういうのは、焦らしたほうが勝ちなのだ。
病院食を口に運ぶ。
味は薄いが、由紀と一緒に食べているからか、美味しく感じる。
ふと、由紀がパスタを巻いたフォークを、俺の口の目の前に持ってきて、俺の目を見つめる。
言わなくても分かるでしょ、と言いたげだ。
「んー?俺にくれるの?」
「一口だけだよ。
病院食、味薄いからたまには恋しくなるだろうな、って思って。
カルボナーラだけど、アレルギーとかない?」
「……大丈夫。
こんな形で由紀とキスできるの、嬉しい。
いただきます。」
俺が口を開けると、パスタを巻いたフォークが差し込まれた。
「……あ、美味い。」
最近のコンビニは、レストランには劣るが、それなりのクオリティーだと思う。
「良かった。」
にっこり笑う由紀が可愛すぎる。
昼飯を食ってる時じゃなかったらなぁ。
確実に由紀の唇を奪いながら、その膝丈スカートを捲り上げているところだ。
引き留めたいが、もう由紀を襲うしか手立てがなさそうだ。
ただ、由紀が泣くところも見たくない。
こんな怪我を負うことになったあの日、泣きながら蓮太郎に電話をしていた由紀を見て、自分が不甲斐なく感じた。
同時に、この女を2度と泣かせるものかと思った。
俺には、今由紀を襲うことは出来ない。
ちゃんと、こういうことは由紀の同意を得てからにしたい。
「由紀、さ。
俺、アメリカにいる間、ヒモ状態にはなりたくないから、何かで生計を立てたいとは思ってるの。
ゆくゆくは、彼氏彼女、じゃなくて旦那と奥さんの関係に進みたいし。
アメリカと日本を行き来してる由紀なら、向こうのことにも俺よりは詳しいだろ?
何かアイデアないかな?」
しばらく考え込んだ後、由紀は言った。
「うーん、そうは言ってもね。
向こうじゃ、ビザを持たないと就労は厳しいのよ。
エキストラで演技の仕事があれば、向いてるとは思うのよ。
演じる仕事って、将輝とか奈斗くんみたいな、あまり人と関わってこなかった人のほうが、素のままが演技と捉えられるから、評判良くなったりするんじゃないかな?
常にアドリブやってる、みたいな感じね。」
……検討、してみるか。
ペットボトルのカフェオレ。
「由紀、それだけでいいの?
もっと食えばいいのに。
そんなんじゃ、近い将来か遠い将来かは分かんないけど、キス以上のことしたときに抱き心地良くないだろうから反対だな。」
「ちょ、将輝ったら!
何てこと言うの……!」
顔を真っ赤にしながらパスタが入っているビニールを破るのが可愛い。
「んー?
ホントのことじゃん。
……俺としては、早く由紀のこと、ベッドの上でとろとろに甘やかしたいんだけどね。」
「もう!
照れるじゃん!」
ムキになって、パスタを持って病室の外に出る由紀。
きっと、ラウンジにある電子レンジでパスタに熱を通すのだろう。
……俺が行けば良かったかな。
Vネックの薄手の黄色いニットに、ベージュのスカート。
可愛いけど、そんな可愛い格好をした由紀を見た俺以外の野郎が欲情しないとも限らない。
細い身体の割に、胸はある。
長い入院生活でそっちの欲を持て余した奴らにとっては格好の餌だろう。
鼻歌をうたいながら上機嫌で病室に戻って来た由紀。
「お待たせ、将輝。」
パスタをテーブルに置いた由紀を、後ろからそっと抱きしめた。
「よかった。
不埒な輩に襲われてたりしてないか、心配だったからさ。」
「ありがと、心配してくれて。
優しい彼氏を持てて幸せ。」
後ろから由紀のうなじにキスを落とした。
俺はその後すぐに、空いた方のテーブルに運ばれた病院食のトレーを置いた。
こういうのは、焦らしたほうが勝ちなのだ。
病院食を口に運ぶ。
味は薄いが、由紀と一緒に食べているからか、美味しく感じる。
ふと、由紀がパスタを巻いたフォークを、俺の口の目の前に持ってきて、俺の目を見つめる。
言わなくても分かるでしょ、と言いたげだ。
「んー?俺にくれるの?」
「一口だけだよ。
病院食、味薄いからたまには恋しくなるだろうな、って思って。
カルボナーラだけど、アレルギーとかない?」
「……大丈夫。
こんな形で由紀とキスできるの、嬉しい。
いただきます。」
俺が口を開けると、パスタを巻いたフォークが差し込まれた。
「……あ、美味い。」
最近のコンビニは、レストランには劣るが、それなりのクオリティーだと思う。
「良かった。」
にっこり笑う由紀が可愛すぎる。
昼飯を食ってる時じゃなかったらなぁ。
確実に由紀の唇を奪いながら、その膝丈スカートを捲り上げているところだ。
引き留めたいが、もう由紀を襲うしか手立てがなさそうだ。
ただ、由紀が泣くところも見たくない。
こんな怪我を負うことになったあの日、泣きながら蓮太郎に電話をしていた由紀を見て、自分が不甲斐なく感じた。
同時に、この女を2度と泣かせるものかと思った。
俺には、今由紀を襲うことは出来ない。
ちゃんと、こういうことは由紀の同意を得てからにしたい。
「由紀、さ。
俺、アメリカにいる間、ヒモ状態にはなりたくないから、何かで生計を立てたいとは思ってるの。
ゆくゆくは、彼氏彼女、じゃなくて旦那と奥さんの関係に進みたいし。
アメリカと日本を行き来してる由紀なら、向こうのことにも俺よりは詳しいだろ?
何かアイデアないかな?」
しばらく考え込んだ後、由紀は言った。
「うーん、そうは言ってもね。
向こうじゃ、ビザを持たないと就労は厳しいのよ。
エキストラで演技の仕事があれば、向いてるとは思うのよ。
演じる仕事って、将輝とか奈斗くんみたいな、あまり人と関わってこなかった人のほうが、素のままが演技と捉えられるから、評判良くなったりするんじゃないかな?
常にアドリブやってる、みたいな感じね。」
……検討、してみるか。