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カメラのフラッシュは相当に眩しいはずなのだが、ものともしていなかった。

しっかりとネイビーのスーツを着こなしていたレンと、会見仕様にドレスアップしていたメイちゃんは、画面越しでもとても輝いて見えた。

『お集まりの関係者の皆様、そしてマスコミやメディア各社の皆様、本日はご多忙の中、我が宝月グループの会見にお越しいただき、誠に御礼申し上げます。
本日は、大きく3つのトピックに分けて、お話したいと思います。』

レンが話すたびに、彼の後ろのモニターにトピックと字幕が映る。

パワーポイントの編集くらいなら、言ってくれれば手伝えたのに。

おそらく、伊達さんと柏木さん辺りが作成と編集を担ったのだろう。

『私、宝月 蓮太郎が、今は亡き前当主の宝月曹太郎に替わり、宝月家当主となります！

私のみではまだまだ未熟であることは承知の上ですが温かい声援とご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願いいたします。』

『そして、2つ目ですが、私、宝月蓮太郎は、私の左におります女性と婚約し、日本で婚姻可能年齢に達し次第、入籍いたしますことをご報告いたします。』

メイちゃんは、しっかりとしたお辞儀のあと、自らの名前と、現当主共々、温かく見守ってほしい旨を伝えた。

青いドレスとピアスが照明に映えてすごく素敵だった。

『本日、最後のトピックとなります。
私の右隣におります男性が代表を務める柏木グループと、我が宝月グループは、正式に業務資本提携を行いました。
これにより、教育やIT、食品、車、マスコミだけではなく、不動産にも大きな強みを持ったこととなります。

今後とも、宝月グループをよろしくお願いいたします。』

そして、マイクは柏木さんに渡された。

『先程、お話に預かりました、柏木グループ代表の柏木 康一郎です。
まだまだ至らぬ点も多いと思いますが、現当主の宝月グループ共々、皆様のお役に立てるように精一杯努力する所存でございます。
何卒、よろしくお願いいたします。』

柏木さんの喋りは声が震えることもなく、堂々としていた。
こういう場、慣れてるんだろうな。

質疑応答に移ると、婚約者の冥さんとの馴れ初めは？プロポーズの言葉は？などと質問が飛んだ。

事前にエージェントルームのモニターで流されていた映像が、編集して流されていた。

『彼は、論理的思考力はもちろんですが、しっかりと他人の感情に寄り添った上で、問題解決をしていく力も持っています。

そんな彼と一緒だと、私も向上心を刺激されます。

より、そんな彼を隣で支えられる、彼に相応しい女性になれるように、まだまだ未熟ですが頑張ってゆきます。』

『先程、私の婚約者が話してくれましたが、彼女自身、とても責任感や向上心が強い反面、独りで何でも背負ってしまうところがあります。

その背負いすぎた荷物を下ろす手伝いであったり、荷物を一緒に背負うのが、宝月グループの当主である前に、宝月蓮太郎という1人の男としての責任だと思っております。

まだまだ至らない点も多いため、苦労をおかけする場面もあるかと存じます。
私と、私の婚約者をどうかよろしくお願いいたします。』

『なるほど、宝月現当主は、冥さんの向上心溢れる姿と、強い責任感を持ち合わせる姿に惹かれ、冥さんは、宝月現当主の論理的思考力や、感情に寄り添える問題解決力に惹かれたということですね。』

司会役、うまくまとめたな。

宝月現当主のレンと、メイちゃんとの間にお子さんが誕生した際には当主は継がせるのか、などの質問が飛んだが、それにも答えていた。

『それでは、お時間となりましたので、宝月グループ当主の会見を終わります。』

モニターには、ご質問があれば、メールフォームにお送りくだされば、極力回答致します、と書かれていた。

この気遣いの方向性は、レンでも、メイちゃんでも柏木さんでもないな。

小さく、ハナがVサインをしていた。
やはりお前か、ハナ。