ボーダー
「ん……」

目を開けると、慣れない眩しさの明かりに、一瞬、目が眩んだ。

そっか……
ここ……マレーシアなんだっけ。

「蓮太郎?」

何とか上下のだけ着けてやったから、下着姿のメイ。

普段多い黒の下着も大好きだが、濃いディープグリーンの下着も可愛くて色っぽい。

花が型押しされたような模様と、カップの上とショーツのウエストラインのレースがたまらない。

メイも起きたみたいだ。

「おはよ、蓮太郎。」

そう言うなり、オレに抱きついてキスをしてくる。

「あーあ、もう。
婚約者さんが可愛いことしてくるから、朝だから余計にさ?こうなっちゃったじゃん。
責任、とってよ?」

メイの手を、オレの下着の膨らみに誘導する。

その瞬間。
外からコンコンと、ドアを叩く音がした。

「メイ。
オレが出るから、服着てな?」

それだけ言って、無造作にベッドの下に脱ぎ捨てられたTシャツを着て、ズボンだけ履くと、ドアを開けた。

ドアを開けた先にいたのは、養護の那智先生。

「お、おはよう。
7時から朝食だから、降りておいでね。」

「はい。」

「羨ましいわ、婚約者さんとラブラブで。
私も誰か紹介してほしいくらいよ。

それじゃあ、ちゃんと降りてくるのよ?
私は、全部屋見回らないといけないから。」

「日本で一緒にいれるの、嬉しい。
大好きだよ、蓮太郎……」

理性が飛びそうになるのを抑えて、言った。

「メイ。早く用意しちゃえよ?
7時から朝食で、その後すぐに市内観光っていうスケジュールだから。」

「分かってる。

シャワー浴びてくるから、ソレ、何とかしなさいよ。
私以外の女と初対面からそれじゃ、恥ずかしいじゃない。

そもそも、私以外の女にそうなってほしくないしね。」

仕方がない。
シャワールームはガラス張りだ。
しかも、シャワーからもトイレは見えなくはない。

マズイな。

まぁ、見られるよりはここのほうがマシか。

先程まで見ていたメイの下着姿を想像して処理を終える。

シャワーを浴び終えたらしいメイ。
ドライヤーの音が聞こえる。

「手、疲れるぞ。
貸してみ?」

メイの頭にタオルを被せてから、手早くドライヤーでメイのサラサラなボブヘアを乾かす。

「なんか、婚約者、ってより夫婦、って感じ。
たまにお願いしようかしら。」

「うん、いつでもどうぞ?」

アイスブルーの薄手ニットに、グレーのパンツ姿のメイ。
ジャケットもグレーで、仕事をバリバリこなせるOL風だ。

ピアスこそ控えめなものの、ネックレスは村西さんにもらったものをつけている。

「オレ、そういう格好も好き。

ってか、メイが着る服なら何でも好きだ。

朝飯食べに行くぞ。
はぐれるなよ?メイ。」

今日は、大学生ガイドに、首都クアラルンプールを案内してもらうのだ。

楽しみだな。

オレとメイは英語話せるから問題ないけど。
ハナとミツが心配だ。

婚約者としっかり手を繋ぎながら向かった朝食会場で、眠そうにしているハナに会った。
寝不足のようだ。
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