ボーダー
「ハナ、おはよ。
寝不足?
ハナ、環境変わると逆に寝付き悪くなるタイプだからな。」
メイという婚約者を持った後も、ハナとはちゃんと幼なじみなのだ。
そこは変わらない。
「それもある。」
「ブライズメイドの話し合いしてくれてたのでしょう?
寝ててくれてよかったのに。」
「ううん。大事なことだもん。
大事な幼なじみと、親友かつ幼なじみの奥さんには世界一幸せになってほしいし。
そのためなら、できることなら何でもやりたいの。」
そういうところなんだよな。
オレもしかりだけど、アイツが惚れたの。
「いいから食えば?
時間ないぞ?」
「それはオレも話した。
ハナの奴、柏木さんの挙式と披露宴、帰る日とかぶる上に自由時間もないから、ってことで、祝電だけじゃ味気ない気もしている、他に何かできないか、って考えてたみたいだぜ?」
「おお、ミツじゃん、おはよ。」
「おはよ。
オレは、寝不足そうなアイツが危なっかしいから一緒に飯食うけど、どうする?」
「私たちもご一緒しようかしら。」
オレの執事の武田は、ハナとミツのテーブルにいた。
「おや、旦那さまに奥様。
これはこれは、おはようございます。
お楽しみを邪魔してはならないと思いまして、私は昨夜別室におりました。」
気遣いできる奴が周囲にたくさんいることに感謝しないとな。
その後に、今回観光案内をしてくれる現地の大学生ガイドと合流。
エリカと、シュアンの、2人のガイド。
日本の書籍が手に入る本屋や、自身が通う大学などに案内してもらった。
話したいことがある場合、かつそれが簡単な英語ではとても言えないようなことだった際は、オレかメイに日本語で伝え、オレたちが英語で話す。
大学生ガイド2人から何かを聞かれ、分からなかったときも同様だ。
そんなこともやった。
というか、そのためにオレたちがいるのだ。
その後はクラスの皆で夕食会場に向かった。
しかし、その行きのバスの中で冷房が壊れ、
車内の温度が急激に上がった。
「気持ち悪……」
ハナが顔を青くしたまま呟く。
ヤベ……
熱中症かもしれないな。
「どうしても体調が悪いやつだけ降りて歩いて行っていい。
どうせ渋滞だから、遅くなる。
体調が悪化しては困るからな。
降りろー?」
という、先生の指示。
ハナが降りた。
ミツが、具合が悪いフリをして降りる。
あとは、車内の状況を、オレがブローチを通じて伝える係だ。
『ハナ、平気?』
『外に出ると、少し落ち着いてきたようで、足取りはしっかりしている。
急激な温度の変化にやられただけだろう。
寝不足がたたったな。
アイツ、明日のどこかで自由時間が全くないわけじゃなく、それが式の冒頭に間に合うようなら、新郎新婦入場の後にでもホテルから中継して、お祝いのメッセージを寄せる案を考えていたようだからな。』
『そんなこと考えてたの?
分かった、武田にも相談して、なんとかしてみる。
……任せろ。
カネとコネと権力を、悪いことじゃなくて、人様の幸せのために使うんだ。
それなら、死んだ親父も浮かばれるだろうからな。』
ハナたちが着いてすぐ後に、オレらが乗っているバスも会場に到着したようだ。
夕食の鍋を食べ終え、ホテルに戻る。
明日は朝からマラッカ観光に行って、そのまま飛行機に乗る。
だから、このホテルに泊まるのも、これが最後。
先に帰国の準備を早々と済ませたらしいメイは先に眠っていた。
時々寝言で、オレの名前を呼ぶ。
……可愛すぎるんだよ。
昨日もなんだかんだいいつつ2回したし、明日に影響するとまずいから、今日は我慢しようと思った。
その決意は、いとも簡単に揺らぎそうになる。
起こさないように、頭を撫でてやってから、そっと唇を重ねて、すぐに離す。
「おやすみ、メイ。
いい夢を。」
それだけ言って、オレも眠りについた。
寝不足?
ハナ、環境変わると逆に寝付き悪くなるタイプだからな。」
メイという婚約者を持った後も、ハナとはちゃんと幼なじみなのだ。
そこは変わらない。
「それもある。」
「ブライズメイドの話し合いしてくれてたのでしょう?
寝ててくれてよかったのに。」
「ううん。大事なことだもん。
大事な幼なじみと、親友かつ幼なじみの奥さんには世界一幸せになってほしいし。
そのためなら、できることなら何でもやりたいの。」
そういうところなんだよな。
オレもしかりだけど、アイツが惚れたの。
「いいから食えば?
時間ないぞ?」
「それはオレも話した。
ハナの奴、柏木さんの挙式と披露宴、帰る日とかぶる上に自由時間もないから、ってことで、祝電だけじゃ味気ない気もしている、他に何かできないか、って考えてたみたいだぜ?」
「おお、ミツじゃん、おはよ。」
「おはよ。
オレは、寝不足そうなアイツが危なっかしいから一緒に飯食うけど、どうする?」
「私たちもご一緒しようかしら。」
オレの執事の武田は、ハナとミツのテーブルにいた。
「おや、旦那さまに奥様。
これはこれは、おはようございます。
お楽しみを邪魔してはならないと思いまして、私は昨夜別室におりました。」
気遣いできる奴が周囲にたくさんいることに感謝しないとな。
その後に、今回観光案内をしてくれる現地の大学生ガイドと合流。
エリカと、シュアンの、2人のガイド。
日本の書籍が手に入る本屋や、自身が通う大学などに案内してもらった。
話したいことがある場合、かつそれが簡単な英語ではとても言えないようなことだった際は、オレかメイに日本語で伝え、オレたちが英語で話す。
大学生ガイド2人から何かを聞かれ、分からなかったときも同様だ。
そんなこともやった。
というか、そのためにオレたちがいるのだ。
その後はクラスの皆で夕食会場に向かった。
しかし、その行きのバスの中で冷房が壊れ、
車内の温度が急激に上がった。
「気持ち悪……」
ハナが顔を青くしたまま呟く。
ヤベ……
熱中症かもしれないな。
「どうしても体調が悪いやつだけ降りて歩いて行っていい。
どうせ渋滞だから、遅くなる。
体調が悪化しては困るからな。
降りろー?」
という、先生の指示。
ハナが降りた。
ミツが、具合が悪いフリをして降りる。
あとは、車内の状況を、オレがブローチを通じて伝える係だ。
『ハナ、平気?』
『外に出ると、少し落ち着いてきたようで、足取りはしっかりしている。
急激な温度の変化にやられただけだろう。
寝不足がたたったな。
アイツ、明日のどこかで自由時間が全くないわけじゃなく、それが式の冒頭に間に合うようなら、新郎新婦入場の後にでもホテルから中継して、お祝いのメッセージを寄せる案を考えていたようだからな。』
『そんなこと考えてたの?
分かった、武田にも相談して、なんとかしてみる。
……任せろ。
カネとコネと権力を、悪いことじゃなくて、人様の幸せのために使うんだ。
それなら、死んだ親父も浮かばれるだろうからな。』
ハナたちが着いてすぐ後に、オレらが乗っているバスも会場に到着したようだ。
夕食の鍋を食べ終え、ホテルに戻る。
明日は朝からマラッカ観光に行って、そのまま飛行機に乗る。
だから、このホテルに泊まるのも、これが最後。
先に帰国の準備を早々と済ませたらしいメイは先に眠っていた。
時々寝言で、オレの名前を呼ぶ。
……可愛すぎるんだよ。
昨日もなんだかんだいいつつ2回したし、明日に影響するとまずいから、今日は我慢しようと思った。
その決意は、いとも簡単に揺らぎそうになる。
起こさないように、頭を撫でてやってから、そっと唇を重ねて、すぐに離す。
「おやすみ、メイ。
いい夢を。」
それだけ言って、オレも眠りについた。