ボーダー
翌日。
マラッカ観光の前に、また朝食のバイキング。
昨日と同じメニューで、正直飽きた。
オレとハナたちは、さっさとホテルの朝食に見切りをつけて、部屋で日本から持ってきたカップラーメンを食べた。
そして、やるなら今しかない。
中継はできなさそうなので、映像をオレが持っている盗音機で、オレとメイ、ハナ、ミツが言葉を寄せる場面を録画し、それをエージェントルームに送る。
式が始まったら、エージェントルームから中継を結んで、その映像を流してもらうほうがいいだろうということになった。
部屋に行くと、武田から事情を聞いたのだろうか。
村西さんに遠藤さんがいた。
「あれ?
どうしてここに?」
「話は聞いた。
こういうことは、FBIの端くれに任せろ。
お前らは、録画が終わったら、修学旅行に支障が出ないように動くんだ。
いいな。」
「村西さん、遠藤さん、おふたりとも、ありがとうございます!
もう、あっちに帰国されたかと思いました。」
「オレたちはまだいる。
協力してくれた奈斗の方は、すぐに帰したけどな。
スクールがあるのと、アイツの可愛い彼女を心配させるわけにはいかないから。」
「さ、時間がない。
案内する。
オレたちの部屋を使うといい。
終わったら、部屋戻れよ。
あ、オレたちの部屋にある日本から持ってきたお菓子は、好きに持って行っていいぞ。
オレたちだけでは食べきれんからな。
むしろ消費してくれ。」
遠藤さんに付いていく。
さすが、男の人の部屋。
大人だから、オレたちみたいに好き勝手はしゃがないぶん、物が散乱していない。
ハナとミツ、メイが、順番に柏木さんと志穂さんに向けたお祝いのメッセージを言っていく。
長くて2分30秒だ。
なかなか苦労するらしく、何度か撮り直しをされていた。
オレは、そういうのは放送部で慣れていたから問題なかった。
ちゃっかり、帰りのバスや飛行機の中で食べられるサイズの、個包装タイプのお菓子を拝借していく。
「村西さんに遠藤さん、ありがとうございました!
編集、よろしくお願いします!」
「任せろ!
じゃあ、またな、蓮太郎。」
その後は、ルームキーなどを返却して、荷物をバスに積んで、そのままマラッカ観光に。
オレとメイだったり、ハナとミツと4人で写真もたくさん撮ったし、マラッカの海も見た。
マラッカの海は濁っていて、ところどころにゴミなども浮いていた。
やっぱり、日本の海は綺麗でいいなぁ、と改めて思う。
中国の風格漂う寺院も見た。
さすが多民族国家。
オランダ広場とかもあったし……
だけど、それぞれの文化がお互いに融和しあっているのが、マレーシアのすごいところだ。
昼食の後は、お土産物屋で買い物をして、夕食会場に向かった。
夕食がバイキング形式で、中でショーもやってくれたし、修学旅行の中で1番有意義な夕食だった。
少なくとも、炒飯ばかりはもう懲り懲りだ。
「武田、しばらくオレとメイの食事、半年くらい炒飯は作らなくていいから。」
「かしこまりました。
私から、そのようにシェフに申し伝えますね。
ご安心を、旦那さま。」
夕食を済ませ、マレーシア空港に向かう。
マレーシアを去るとき、ほんの少しだけど、名残惜しかった。
荷物を預け、出国審査を終えると、少しだけ買い物の時間が与えられた。
オレは、寂しかったであろう、良太郎やら勇馬たち賢正学園組へのお土産を、無関税店で物色した。
ハナやメイは、化粧品等を買い込んでいた。
お前らは、とりわけ濃いメイクなんかしなくても、十分可愛いと思うけど。
特にメイな。
ミツは、自分の兄と、いずれはその奥さんになる、オレの姉にお土産を買っていた。
三者三様に買い物の時間を楽しみ、飛行機に乗り込んだ。
オレも、メイも。
ハナもミツも、修学旅行でいろいろあったからなのか、機内では最初の方にクッキーやらおせんべいを食べた以外は眠っていた。
婚約者であるメイが着ていた膝上のベージュのスカートにロイヤルブルーのニット。
他の野郎の目線が心配だったのと、機内の空調で風邪をひかれても困るので、オレのジャケットをメイの身体にかけた。
婚約者の素肌を独占する権利があるのはオレだけだ。
飛行機から降りると、久しぶりの日本に、清々しい気持ちになった。
入国審査を終えて、荷物を受けとり、空港を出て、バスに乗り込む。
楽しかったなぁ、マレーシア。
だけどやっぱり、日本が一番だなぁ。
無事に、地元の駅にバスが停まると、皆の顔に安堵の表情が見えた。
「明日は代休だからな!
間違えて来るなよー!」
担任教師が、バスの中で声を張り上げた。
先生の言うことも、皆聞いてはいたようだが、何人か間違えて来るやつ、いるんじゃないか?こりゃ。
マラッカ観光の前に、また朝食のバイキング。
昨日と同じメニューで、正直飽きた。
オレとハナたちは、さっさとホテルの朝食に見切りをつけて、部屋で日本から持ってきたカップラーメンを食べた。
そして、やるなら今しかない。
中継はできなさそうなので、映像をオレが持っている盗音機で、オレとメイ、ハナ、ミツが言葉を寄せる場面を録画し、それをエージェントルームに送る。
式が始まったら、エージェントルームから中継を結んで、その映像を流してもらうほうがいいだろうということになった。
部屋に行くと、武田から事情を聞いたのだろうか。
村西さんに遠藤さんがいた。
「あれ?
どうしてここに?」
「話は聞いた。
こういうことは、FBIの端くれに任せろ。
お前らは、録画が終わったら、修学旅行に支障が出ないように動くんだ。
いいな。」
「村西さん、遠藤さん、おふたりとも、ありがとうございます!
もう、あっちに帰国されたかと思いました。」
「オレたちはまだいる。
協力してくれた奈斗の方は、すぐに帰したけどな。
スクールがあるのと、アイツの可愛い彼女を心配させるわけにはいかないから。」
「さ、時間がない。
案内する。
オレたちの部屋を使うといい。
終わったら、部屋戻れよ。
あ、オレたちの部屋にある日本から持ってきたお菓子は、好きに持って行っていいぞ。
オレたちだけでは食べきれんからな。
むしろ消費してくれ。」
遠藤さんに付いていく。
さすが、男の人の部屋。
大人だから、オレたちみたいに好き勝手はしゃがないぶん、物が散乱していない。
ハナとミツ、メイが、順番に柏木さんと志穂さんに向けたお祝いのメッセージを言っていく。
長くて2分30秒だ。
なかなか苦労するらしく、何度か撮り直しをされていた。
オレは、そういうのは放送部で慣れていたから問題なかった。
ちゃっかり、帰りのバスや飛行機の中で食べられるサイズの、個包装タイプのお菓子を拝借していく。
「村西さんに遠藤さん、ありがとうございました!
編集、よろしくお願いします!」
「任せろ!
じゃあ、またな、蓮太郎。」
その後は、ルームキーなどを返却して、荷物をバスに積んで、そのままマラッカ観光に。
オレとメイだったり、ハナとミツと4人で写真もたくさん撮ったし、マラッカの海も見た。
マラッカの海は濁っていて、ところどころにゴミなども浮いていた。
やっぱり、日本の海は綺麗でいいなぁ、と改めて思う。
中国の風格漂う寺院も見た。
さすが多民族国家。
オランダ広場とかもあったし……
だけど、それぞれの文化がお互いに融和しあっているのが、マレーシアのすごいところだ。
昼食の後は、お土産物屋で買い物をして、夕食会場に向かった。
夕食がバイキング形式で、中でショーもやってくれたし、修学旅行の中で1番有意義な夕食だった。
少なくとも、炒飯ばかりはもう懲り懲りだ。
「武田、しばらくオレとメイの食事、半年くらい炒飯は作らなくていいから。」
「かしこまりました。
私から、そのようにシェフに申し伝えますね。
ご安心を、旦那さま。」
夕食を済ませ、マレーシア空港に向かう。
マレーシアを去るとき、ほんの少しだけど、名残惜しかった。
荷物を預け、出国審査を終えると、少しだけ買い物の時間が与えられた。
オレは、寂しかったであろう、良太郎やら勇馬たち賢正学園組へのお土産を、無関税店で物色した。
ハナやメイは、化粧品等を買い込んでいた。
お前らは、とりわけ濃いメイクなんかしなくても、十分可愛いと思うけど。
特にメイな。
ミツは、自分の兄と、いずれはその奥さんになる、オレの姉にお土産を買っていた。
三者三様に買い物の時間を楽しみ、飛行機に乗り込んだ。
オレも、メイも。
ハナもミツも、修学旅行でいろいろあったからなのか、機内では最初の方にクッキーやらおせんべいを食べた以外は眠っていた。
婚約者であるメイが着ていた膝上のベージュのスカートにロイヤルブルーのニット。
他の野郎の目線が心配だったのと、機内の空調で風邪をひかれても困るので、オレのジャケットをメイの身体にかけた。
婚約者の素肌を独占する権利があるのはオレだけだ。
飛行機から降りると、久しぶりの日本に、清々しい気持ちになった。
入国審査を終えて、荷物を受けとり、空港を出て、バスに乗り込む。
楽しかったなぁ、マレーシア。
だけどやっぱり、日本が一番だなぁ。
無事に、地元の駅にバスが停まると、皆の顔に安堵の表情が見えた。
「明日は代休だからな!
間違えて来るなよー!」
担任教師が、バスの中で声を張り上げた。
先生の言うことも、皆聞いてはいたようだが、何人か間違えて来るやつ、いるんじゃないか?こりゃ。