ボーダー
未来
卒業
時は過ぎて、3月1日。
盛大に、卒業式が行われた。
もう、この制服を着ることも、ないんだなぁ。
学校までの道を自転車で通ることも、雨の日だと電車で行って少し遠回りになるのも、これからはない。
ずっと電車通学になるのだ。
在校生によって制服に花がつけられ、ピンクベージュのワンピース姿の三河先生の後に、体育館に入場する。
「卒業生、起立! 礼!」
一人ずつ、順番に名前が呼ばれていく。
『卒業生代表、蒲田 華恵!』
「……はい。」
私が3年1組卒業生代表として、クラス全員分の卒業証書を受け取った。
校長先生やPTAのありがたい言葉や、在校生の送辞も終わり、ミツが答辞を述べる。
卒業式が終わった後、在校生が作ったという映像が流された。
在校生が作ったにしては、入学時から高校2年生までの行事の映像がやけに多い。
映像の最後にネタばらしがあった。
最後に、『映像協力 宝月グループ』とあった。
レンとメイちゃんが中心になって、在校生をけしかけて作った映像らしい。
そして、エンドロールの最後に、はからずも卒業生代表である私とミツ、レンとメイちゃんで婚姻届受理後に撮った写真が映し出された。
その写真に、会場はどよめいた。
映像が終わると、壇上にいつの間に来ていたのか、レンとメイちゃんがいた。
「改めまして卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。
そして、先程の映像内にもありましたが、私、宝月 蓮太郎は、昨年の12月2日、正式に今、私の隣にいる女性、冥と入籍したことを、この場を借りてご報告いたします。」
メイちゃんも、続けて話す。
「ただいまご紹介にあずかりました、宝月 冥です。
入籍した実感はまだ湧いていませんが、2週間と1日後に挙式を行いますので、それが終われば実感が湧いてくるのかな、と思います。
せっかくの卒業式という晴れやかな日に水をさしてしまわないか心配でしたが、この学校には留学生として夫がいた2年間と、私がいた6か月間、特に良くしていただきました。
そこで、皆様にこの場を借りてご報告したいと無理を言った次第です。
貴重なお時間を下さり、ありがとうございました。」
レンとメイちゃんには拍手が送られた。
壇上から降りて外に出ようとするレンとメイちゃんを呼び止めたのは、多喜本先生だった。
「君たちも、留学生兼特待生として、我が校の発展に力を尽くしてくれた。
君たちも、同学年だった子たちと積もる話もあるだろう。
一緒に退場しなさい。」
入口で深く、その場で一礼して、3年1組、つまり私たちのクラスの輪に入って退場した。
そして、卒業式が終わって、アルバムに寄せ書きもしてもらい、皆で写真を撮ったりした。
レンとメイちゃんとも撮りたかったが、彼らは18歳で籍を入れたレアケース、ということで、生徒や教師からひっぱりだこだった。
「大変そうだね、レンとメイちゃん。」
「オレの屋敷で、卒業祝いパーティーやる!
集合は14時な!
詳しくは武田に聞いてくれー!」
私たちにそう呼びかけながら、もみくちゃにされているレンが不憫だ。
きっと、幸せオーラいっぱいのレンに何かをあやかりたいのだろう。
盛大に、卒業式が行われた。
もう、この制服を着ることも、ないんだなぁ。
学校までの道を自転車で通ることも、雨の日だと電車で行って少し遠回りになるのも、これからはない。
ずっと電車通学になるのだ。
在校生によって制服に花がつけられ、ピンクベージュのワンピース姿の三河先生の後に、体育館に入場する。
「卒業生、起立! 礼!」
一人ずつ、順番に名前が呼ばれていく。
『卒業生代表、蒲田 華恵!』
「……はい。」
私が3年1組卒業生代表として、クラス全員分の卒業証書を受け取った。
校長先生やPTAのありがたい言葉や、在校生の送辞も終わり、ミツが答辞を述べる。
卒業式が終わった後、在校生が作ったという映像が流された。
在校生が作ったにしては、入学時から高校2年生までの行事の映像がやけに多い。
映像の最後にネタばらしがあった。
最後に、『映像協力 宝月グループ』とあった。
レンとメイちゃんが中心になって、在校生をけしかけて作った映像らしい。
そして、エンドロールの最後に、はからずも卒業生代表である私とミツ、レンとメイちゃんで婚姻届受理後に撮った写真が映し出された。
その写真に、会場はどよめいた。
映像が終わると、壇上にいつの間に来ていたのか、レンとメイちゃんがいた。
「改めまして卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。
そして、先程の映像内にもありましたが、私、宝月 蓮太郎は、昨年の12月2日、正式に今、私の隣にいる女性、冥と入籍したことを、この場を借りてご報告いたします。」
メイちゃんも、続けて話す。
「ただいまご紹介にあずかりました、宝月 冥です。
入籍した実感はまだ湧いていませんが、2週間と1日後に挙式を行いますので、それが終われば実感が湧いてくるのかな、と思います。
せっかくの卒業式という晴れやかな日に水をさしてしまわないか心配でしたが、この学校には留学生として夫がいた2年間と、私がいた6か月間、特に良くしていただきました。
そこで、皆様にこの場を借りてご報告したいと無理を言った次第です。
貴重なお時間を下さり、ありがとうございました。」
レンとメイちゃんには拍手が送られた。
壇上から降りて外に出ようとするレンとメイちゃんを呼び止めたのは、多喜本先生だった。
「君たちも、留学生兼特待生として、我が校の発展に力を尽くしてくれた。
君たちも、同学年だった子たちと積もる話もあるだろう。
一緒に退場しなさい。」
入口で深く、その場で一礼して、3年1組、つまり私たちのクラスの輪に入って退場した。
そして、卒業式が終わって、アルバムに寄せ書きもしてもらい、皆で写真を撮ったりした。
レンとメイちゃんとも撮りたかったが、彼らは18歳で籍を入れたレアケース、ということで、生徒や教師からひっぱりだこだった。
「大変そうだね、レンとメイちゃん。」
「オレの屋敷で、卒業祝いパーティーやる!
集合は14時な!
詳しくは武田に聞いてくれー!」
私たちにそう呼びかけながら、もみくちゃにされているレンが不憫だ。
きっと、幸せオーラいっぱいのレンに何かをあやかりたいのだろう。