ボーダー
いつかは、オレも、アイツらみたいになるのかな。

今は、宝月グループが傘下にしている芸能事務所の俳優だ。
そこで貰った役を、おっかなびっくりだがこなすことに専念しなくてはならない。

一通りのアクションは出来るから、そういう、アクション映画やドラマへのオファーをしてもらうようにできたらいいな、とは思う。

そのうち、マネージャーとかつくのだろうか。
マネージャーは同性にしてもらわないと、有海が妬いてしまいかねない。

まぁ、妬いている彼女をベッドに運んで甘やかすのも一興だろう。

さて、そろそろオレも上がろう。
可愛くて色っぽい婚約者が部屋でお待ちだ。

上がって、着替えたあと、外の小さな机と椅子に蓮太郎が座っていた。

「有海ちゃんから、ここだって聞いてさ。
今日はありがとうな。
最高の思い出が出来たよ。
奈斗のおかげだ。

オレたちも、ちょっとずつ、挙式に協力してくれた皆に恩返し、って形で返していければ、って思うんだ。

何か困ったら言ってな。」

自然に口から言葉は滑り出ていた。

「蓮太郎。
さっそく困ってる、というより悩んでるんだ。
有海に指輪渡して、更生もスクールも終わったから、同棲したいとは彼女に話してあるんだ。
でも、肝心の家が見つかってから言うべきだったかと少し後悔している。
オレは施設育ちだし、有海はまだ学生で、実家暮らしだ。

「なるほど、住む家か。
黒沢夫妻と似た感じだな。
何とかなるか策を練ってみるよ。

考えついたら、連絡する。」

「助かるよ、蓮太郎。」

「これくらい、どうってことないよ。

カウンセリングの力もあるだろうが、有海ちゃんのおかげだな。
昔より真っ直ぐな性格になった。

程々にしろよ、奈斗。
お前も疲れてるだろ。」

そう言って、箱が入った袋を手渡して来た彼。

おやすみ、とだけ告げて手を振った蓮太郎に、オレもおやすみと返すと、部屋に向かった。

部屋に入ると、有海はベッドから身体を起こした。

キャミソールワンピースははだけていて、正直エロかった。

手に持っていた箱から小袋を取り出してベッド横に置くと、彼女に覆い被さって唇を重ねた。

「んっ、な……いと……」

キスの合間に、掠れた色っぽい声でオレの名前を呼ぶ。

「有海。
そんなエロい声で名前呼ばれると、どうにかなりそう。」

そっとキャミソールワンピースを脱がせると、2つの膨らみが露わになった。

「付けてないとかさ、どれだけオレにこうやって甘やかされたかったわけ?有海。」

望み通り、膨らみの間を軽く吸って、婚約者だというシルシを刻む。
膨らみを手で包むように撫でたり、頂点を口に含むと、彼女の力が抜けた。

すでに、潤う箇所にそっと手をやると、甘い声をあげた彼女。

「奈斗ばっかり、ずるいよ……」

座るか横になって、という彼女の指示に従う。

彼女は、まるでピアノの鍵盤でスタッカートの曲を弾いているかのような手付きで、オレの膨らみを刺激してくる。

「やべ、いい……」

いつの間にか口に含んでいた有海。
ほろ苦い、という彼女の頭を撫でて、もういいよ、という。

「準備するね?
そろそろ限界だから。
ちゃんと、有海の熱さを感じながらが、一番満足感あるんだ。
わかってくれる?」

満足そうに頷いた有海に背を向けて、小袋の封を開け、きちんと被せる。

「まだ、黒沢夫妻とか、宝月夫妻みたいにはさせないよ?
ちゃんとする。
学生のうちに孕ませたくないからね。」

ぎゅ、とオレに抱きついてきた有海。

「奈斗。
ありがと。

……ねぇ、早く。
私も、奈斗の……婚約者さんの熱さを、ちゃんと感じたい。」

「煽ってきたの、可愛くてエロい婚約者さんだからね?
覚悟しろよ。」

「あっ……!」

一気に彼女を貫くと、ひときわ高い声をあげる有海。

「痛いとかない?大丈夫?」

頭を撫でてやると、大丈夫、と言いたげに微笑んだ。

ゆっくり動くと、その度に圧がかかる。

「どれだけ、オレが欲しかったの?
可愛い婚約者さん。」

オレの律動に合わせて、彼女の腰も動く。
さすがピアノ奏者。
リズムに合わせるのはお手のものらしい。

「有海。
……最高の婚約者さん。
愛してる。」

「……私もよ、奈斗。
愛してる、なんて言葉以外見つからないのが悔しいくらい。」

「……煽るね?
そういうとこだよ。
愛おしくて堪んねえ。」

彼女の耳元でそう言う。
耳元で囁かれるの、弱いもんな。

強く抱きしめると、ピク、と彼女が身体を震わせた。

締め付けが一段と強まって、薄い膜越しに大量に欲を吐き出した。

よしよし、とでも言いたげに頭を撫でてくれる有海。

「日本に帰ったら一緒にいれる、とはいえ、また数週間は離れ離れなんだ。
その分、有海を味わわせてほしいな。」

オレはそう言って、有海の唇に深く口付けた。

「んー?
婚約者さんの頼み、断るはずないじゃない。
いくらでもどうぞ?」

可愛いことを言う婚約者の甘い声を聞くべく、彼女の艶のある黒髪を梳いてやってから、そっと舌を絡めるキスをした。
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