ボーダー
武田と2人で、大事な幼なじみを出迎えたオレ。
玄関の前にいた彼女たちは、紙袋とカバンを持っていた。
その他に、ミツが、かなり大きい袋、かさばる袋を持っていた。
「いらっしゃい。
とにかく上がれよ。
って、どうしたんだ?そのどデカイ袋。」
「ああ、途中で志穂さんに会ってな。
蓮太郎とメイちゃんに、って貰ったんだ。
妊娠祝いだとよ。
それを受け取って解説受けてたら、思いの外時間がかかったんだ。
ごめん!送る!
蓮太郎くんの家よね?って言って、志穂さんが送ってくれて、この時間。
悪い、待たせちまったな。」
「当の志穂さん本人は、妊娠したいけど多忙すぎるのと、妊娠する前に貧血を直せ、って言われて治療中だから、なかなか難しいみたい。」
志穂さんに業務を増やす原因を作っているのは他ならぬ宝月グループなのだ。
その辺りもしっかり考えねばなるまい。
「とにかく、立ち話もなんですから、どうぞ中へ。」
ハナとミツを絶妙なタイミングで促してくれる武田は、さすがだ。
「ごめんね、急に押しかけて。
ようやく、レンたちの挙式に向けていろいろ奔走した疲れも癒えた頃で、そろそろ入学式の準備しなきゃね、って話になって。
ミツと2人で、入学式のためのスーツを買いに行ってきたのよ。
ミツが、スーツを着慣れてる人からアドバイスが欲しい、って言ってたから。
真っ先に浮かんだの、レンだったし。」
リビングに荷物を置かせて、2人の幼なじみと歓談する。
「早めに言ってくれれば付き合ったのに。」
「ダメよ、レンはメイちゃんの側にいてあげないと。
悪阻、結構しんどいんでしょ?
身体が辛いときに旦那さんが側にいないの、結構キツいのよ。
お、ちょっとお腹ふっくらしたかな、メイちゃん。
しんどかったら席外して、横になっていいからね?」
さすがは同性。
メイへの気遣いの仕方が神がかっている。
「ありがとう。
お気遣いは嬉しいわ。
でも、もう少しここにいるわ。
クルージングチケットのお礼も言いたいし。」
「おお、そうだ。
ありがとうな。
プレゼントのセンス、同学年じゃぶっちぎりだぞ、さすがは幼なじみ。」
「いいえ。
どういたしまして。
普通に何か買うのもつまんないよね、って発案したの、私の頼れる婚約者だし。」
「こういうのって、高いでしょ?
逆に負担じゃなかったかしら?」
「貰う側は値段なんて気にしなくていいの!
大事なのは気持ちだし。
あ、そうそう。
さっき、プレゼントのセンスは私とミツがぶっちぎりだ、って話だったけど、ちゃんと見た?
由紀と将輝くんも、いい線いってると思うんだけど。
仕込みがある、って言ってたし。
ハナにそう言われて、オレが、2人が来る間にリビングに置いたデジタルフォトフレームを手に取る。
傍らの箱は、メイが取って渡してくれた。
「お、サンキュ、メイ。」
幼なじみと、大事なオレの妻の4人で、説明書とにらめっこをしながら、操作していく。
「あ、出来たぞ。
見てみろ。
オレたちじゃない、お前らが見るべきだ。」
ミツが言うと、映し出されたのは、オレとレンの結婚式の写真。
そして、ホテルの廊下でメイの妊娠が判明したときと、挙式、披露宴の際の動画だった。
「仕込み、ってこのことかよ。
そういえば、このフォトフレームが入った小包だけ、一昨日に来たな。」
「きっと、それだけ仕込みに時間がかかった、ってことなのでしょう。
嬉しいわ。
この子に、もしかしたらこの子の妹か弟に。
私たちの結婚式を見せてあげられるんだから。
後でゆっくり、動画を見てみるわね。」
お腹を優しく撫でながらそう言うメイ。
ほんと、母親の顔つきになったなぁ。
「あら?
デジタルフォトフレーム以外にも、何か入ってるわ。
これは、DVDディスクかしら。」
「ああ、それか。
見てみるか?
俺たちが、挙式でメイちゃんたちがお色直ししてるときに会場で流したムービーだ。
新郎新婦の紹介ムービー、ってとこだな。
柏木さんと遠藤さん、あと亜子さんに和訳を頼んで、お前ら宝月グループの株主にも楽しんでもらえるようにした。」
「ごめんね!
挙式の日、控室に持っていく、って言ってたのに、バタバタして疲れ果てて、頭から抜けちゃってたの……
そしたら、デジタルフォトフレーム送るついでに送るから、って由紀が連絡くれたの。
気が利くわぁ。
……ぜひ観てみて!
皆で和気あいあいやりながらも、ちゃんと作った自信作だよ!」
大事な幼なじみにそう言われたら、観るしかない。
さっそく、シアタールームに移動して、観てみる。
玄関の前にいた彼女たちは、紙袋とカバンを持っていた。
その他に、ミツが、かなり大きい袋、かさばる袋を持っていた。
「いらっしゃい。
とにかく上がれよ。
って、どうしたんだ?そのどデカイ袋。」
「ああ、途中で志穂さんに会ってな。
蓮太郎とメイちゃんに、って貰ったんだ。
妊娠祝いだとよ。
それを受け取って解説受けてたら、思いの外時間がかかったんだ。
ごめん!送る!
蓮太郎くんの家よね?って言って、志穂さんが送ってくれて、この時間。
悪い、待たせちまったな。」
「当の志穂さん本人は、妊娠したいけど多忙すぎるのと、妊娠する前に貧血を直せ、って言われて治療中だから、なかなか難しいみたい。」
志穂さんに業務を増やす原因を作っているのは他ならぬ宝月グループなのだ。
その辺りもしっかり考えねばなるまい。
「とにかく、立ち話もなんですから、どうぞ中へ。」
ハナとミツを絶妙なタイミングで促してくれる武田は、さすがだ。
「ごめんね、急に押しかけて。
ようやく、レンたちの挙式に向けていろいろ奔走した疲れも癒えた頃で、そろそろ入学式の準備しなきゃね、って話になって。
ミツと2人で、入学式のためのスーツを買いに行ってきたのよ。
ミツが、スーツを着慣れてる人からアドバイスが欲しい、って言ってたから。
真っ先に浮かんだの、レンだったし。」
リビングに荷物を置かせて、2人の幼なじみと歓談する。
「早めに言ってくれれば付き合ったのに。」
「ダメよ、レンはメイちゃんの側にいてあげないと。
悪阻、結構しんどいんでしょ?
身体が辛いときに旦那さんが側にいないの、結構キツいのよ。
お、ちょっとお腹ふっくらしたかな、メイちゃん。
しんどかったら席外して、横になっていいからね?」
さすがは同性。
メイへの気遣いの仕方が神がかっている。
「ありがとう。
お気遣いは嬉しいわ。
でも、もう少しここにいるわ。
クルージングチケットのお礼も言いたいし。」
「おお、そうだ。
ありがとうな。
プレゼントのセンス、同学年じゃぶっちぎりだぞ、さすがは幼なじみ。」
「いいえ。
どういたしまして。
普通に何か買うのもつまんないよね、って発案したの、私の頼れる婚約者だし。」
「こういうのって、高いでしょ?
逆に負担じゃなかったかしら?」
「貰う側は値段なんて気にしなくていいの!
大事なのは気持ちだし。
あ、そうそう。
さっき、プレゼントのセンスは私とミツがぶっちぎりだ、って話だったけど、ちゃんと見た?
由紀と将輝くんも、いい線いってると思うんだけど。
仕込みがある、って言ってたし。
ハナにそう言われて、オレが、2人が来る間にリビングに置いたデジタルフォトフレームを手に取る。
傍らの箱は、メイが取って渡してくれた。
「お、サンキュ、メイ。」
幼なじみと、大事なオレの妻の4人で、説明書とにらめっこをしながら、操作していく。
「あ、出来たぞ。
見てみろ。
オレたちじゃない、お前らが見るべきだ。」
ミツが言うと、映し出されたのは、オレとレンの結婚式の写真。
そして、ホテルの廊下でメイの妊娠が判明したときと、挙式、披露宴の際の動画だった。
「仕込み、ってこのことかよ。
そういえば、このフォトフレームが入った小包だけ、一昨日に来たな。」
「きっと、それだけ仕込みに時間がかかった、ってことなのでしょう。
嬉しいわ。
この子に、もしかしたらこの子の妹か弟に。
私たちの結婚式を見せてあげられるんだから。
後でゆっくり、動画を見てみるわね。」
お腹を優しく撫でながらそう言うメイ。
ほんと、母親の顔つきになったなぁ。
「あら?
デジタルフォトフレーム以外にも、何か入ってるわ。
これは、DVDディスクかしら。」
「ああ、それか。
見てみるか?
俺たちが、挙式でメイちゃんたちがお色直ししてるときに会場で流したムービーだ。
新郎新婦の紹介ムービー、ってとこだな。
柏木さんと遠藤さん、あと亜子さんに和訳を頼んで、お前ら宝月グループの株主にも楽しんでもらえるようにした。」
「ごめんね!
挙式の日、控室に持っていく、って言ってたのに、バタバタして疲れ果てて、頭から抜けちゃってたの……
そしたら、デジタルフォトフレーム送るついでに送るから、って由紀が連絡くれたの。
気が利くわぁ。
……ぜひ観てみて!
皆で和気あいあいやりながらも、ちゃんと作った自信作だよ!」
大事な幼なじみにそう言われたら、観るしかない。
さっそく、シアタールームに移動して、観てみる。