ボーダー
貼り出されているクラス替えの紙を見ると、なんと……
私の仲間の全員が同じクラスだった。
去年の教育相談で同じクラスにしてほしいと懇願した甲斐があった。
よかったよかった。
そして担任は、涙もろいけどまっすぐで、生徒のよい一面も悪い一面もしっかり見てくれる、初担任の熱血新米教師、富岡先生。
いいクラスになりそうだ。
中3の目玉行事、京都への修学旅行。
1日目はクラスで。
2日目は班で名所をいろいろ回った。
迷ったナナと信二くんを皆で迎えに行った。
旅館の夜ご飯であるしゃぶしゃぶを思いきり堪能した。
矢榛くんの鍋奉行がテキトーすぎるために下がったテンションがデザートのクレープで上がった。
夜はもちろん、ガールズトークだ。
神妙な面持ちで語るのは、由紀だ。
「どうしよ、皆。
私、あろうことか、富岡先生のこと、好きになっちゃった……」
「え?」
「いやいや、由紀はもうちょっと現実を見る子だと思ったのに……」
由紀曰く、苦労人なところがたまらないというのだ。
富岡先生は、小さい頃両親が離婚し、姉は母親に、自分は父親についていったのだという。
父親に楽をさせてやろうと、中学教師を目指した。
そのうえ、自分が学生の頃いじめられたから、いじめのないクラスにするべく、大学で習った心理学の知識も活かしているらしい。
……どこで手に入れたんだろう、そんな情報。
「とにかく、教師と生徒じゃ、恋される方も迷惑よ。
告るなら、卒業式の後とかにしなさいよ。」
バッサリとぶった切る理香。
由紀は泣きそうになっている。
理香は、どこか恋愛に対して達観しているような印象を受ける。
その理由を聞くと、既に北村動物病院を経営している親によってお見合い相手を決められているという。
今どき、あるんだそういうの……。
ナナに何やら耳打ちされて、顔を真っ赤にする理香。
「早川 守《はやかわ まもる》のことは言わないで……!
私がお見合い相手を決められてること知ってても、それでもいいってアプローチしてくる男なんて、気にもしてない……!」
「気にもしてないなら、名前聞いただけで顔赤くしないはずだよ?」
先程まで泣きそうになっていた由紀が、今度は反撃に出る。
ナイスパス、由紀。
「そうそう!
昔の若あゆのとき、早川くんと同じ班だったけど、皆で集合するときとか、私たちの班に合流する前に誰かを探してるみたいだったの。」
ナナ、ナイスなトスをありがとう。
っていうか、去年のこと、よく覚えてたな。
私の援護射撃でトドメ、ってとこかな?
「ナナの言うとおり。
それで、誰かを探してる?って尋ねたの。
そしたら、何て返ってきたと思う?
『脈はないだろうけど気になる女を探してる。ツンツンしてるようだけど不器用なだけで、優しい奴なのは俺が一番知ってる』
って言ってたかな、確か。」
「ホラ、さっさと行ってくる!
点呼来る前がチャンスだよ!」
由紀と有海。
むちゃくちゃな恋愛をしている2人に見送られて理香は部屋を出ていった。
……うまくいくといいな。
理香は無事に早川くんとカップルになれたようだ。
「羨ましいー!
早川くんったら、逆玉の輿じゃん!」
ナナは、中学生でロストバージンしそうな雰囲気であることを告白して、不安や惚気を語っていた。
そうこうしているうちに、夜も更けて、皆で初めての京都を後にした。
私の仲間の全員が同じクラスだった。
去年の教育相談で同じクラスにしてほしいと懇願した甲斐があった。
よかったよかった。
そして担任は、涙もろいけどまっすぐで、生徒のよい一面も悪い一面もしっかり見てくれる、初担任の熱血新米教師、富岡先生。
いいクラスになりそうだ。
中3の目玉行事、京都への修学旅行。
1日目はクラスで。
2日目は班で名所をいろいろ回った。
迷ったナナと信二くんを皆で迎えに行った。
旅館の夜ご飯であるしゃぶしゃぶを思いきり堪能した。
矢榛くんの鍋奉行がテキトーすぎるために下がったテンションがデザートのクレープで上がった。
夜はもちろん、ガールズトークだ。
神妙な面持ちで語るのは、由紀だ。
「どうしよ、皆。
私、あろうことか、富岡先生のこと、好きになっちゃった……」
「え?」
「いやいや、由紀はもうちょっと現実を見る子だと思ったのに……」
由紀曰く、苦労人なところがたまらないというのだ。
富岡先生は、小さい頃両親が離婚し、姉は母親に、自分は父親についていったのだという。
父親に楽をさせてやろうと、中学教師を目指した。
そのうえ、自分が学生の頃いじめられたから、いじめのないクラスにするべく、大学で習った心理学の知識も活かしているらしい。
……どこで手に入れたんだろう、そんな情報。
「とにかく、教師と生徒じゃ、恋される方も迷惑よ。
告るなら、卒業式の後とかにしなさいよ。」
バッサリとぶった切る理香。
由紀は泣きそうになっている。
理香は、どこか恋愛に対して達観しているような印象を受ける。
その理由を聞くと、既に北村動物病院を経営している親によってお見合い相手を決められているという。
今どき、あるんだそういうの……。
ナナに何やら耳打ちされて、顔を真っ赤にする理香。
「早川 守《はやかわ まもる》のことは言わないで……!
私がお見合い相手を決められてること知ってても、それでもいいってアプローチしてくる男なんて、気にもしてない……!」
「気にもしてないなら、名前聞いただけで顔赤くしないはずだよ?」
先程まで泣きそうになっていた由紀が、今度は反撃に出る。
ナイスパス、由紀。
「そうそう!
昔の若あゆのとき、早川くんと同じ班だったけど、皆で集合するときとか、私たちの班に合流する前に誰かを探してるみたいだったの。」
ナナ、ナイスなトスをありがとう。
っていうか、去年のこと、よく覚えてたな。
私の援護射撃でトドメ、ってとこかな?
「ナナの言うとおり。
それで、誰かを探してる?って尋ねたの。
そしたら、何て返ってきたと思う?
『脈はないだろうけど気になる女を探してる。ツンツンしてるようだけど不器用なだけで、優しい奴なのは俺が一番知ってる』
って言ってたかな、確か。」
「ホラ、さっさと行ってくる!
点呼来る前がチャンスだよ!」
由紀と有海。
むちゃくちゃな恋愛をしている2人に見送られて理香は部屋を出ていった。
……うまくいくといいな。
理香は無事に早川くんとカップルになれたようだ。
「羨ましいー!
早川くんったら、逆玉の輿じゃん!」
ナナは、中学生でロストバージンしそうな雰囲気であることを告白して、不安や惚気を語っていた。
そうこうしているうちに、夜も更けて、皆で初めての京都を後にした。