ボーダー
小鳥のさえずりで目が覚める。
……見慣れない風景。
見渡す限りパソコンばかりということは、ここはエージェントルームのようだ。
そして、オレの回りには大量の鞄。
今、レンの家にいる男性社員みんなの着替えを持ってすぐ戻るつもりだった。
しかし、オレも疲れ切っていたようでエージェントルームの床で寝てしまっていたみたいだ。
オレはレンに電話してその旨を伝えた。
女性専用更衣室で同じように寝ていたらしい明日香さんを起こした。
彼女の運転は期待できそうにない。
眠気覚ましがてら、歩いていくことにして、エージェントルームを出た。
まだ完全に眠気が覚めていないせいか、足取りが重い。
いつもの倍の30分ほどかかって、ようやくレンの家に着いた。
出迎えてくれた巴さんに着替えを渡す。
巴さんにオレの兄の惚気を聞かされたが、話半分で聞き流して、レンの部屋へ向かった。
「レン、起きてるか?」
そう声をかけ、ドアを開ける。
レンは普通に起きていた。
時差ボケ等は心配ないようで、それは一安心だった。
ここに居ないハナは今、シャワーを浴びているという。
……オレが着替えを持って来るタイミングが遅かったから、仕方ないか。
……だが、何かがおかしい。
部屋をぐるりと見渡してみる。
……レンかハナのどちらかが布団で寝た形跡はない。
ということは、一つのベッドで寝たのか?
頭の中を嫌な妄想ばかりが駆け巡る。
思えば、昨日エージェントルームに着替えを取りに行くと告げてレンの部屋を覗いたときがあった。
その際は、ベッドがキレイに整っていた。
だが、今はシーツもそれが嘘のように乱れているし、掛け布団も床に落ちてしまっている。
ハナもレンも、寝相は悪いワケではない。
しかも、掛け布団からは花柄の布地が顔を覗かせている。
昨日、ハナが着ていた服の柄だ。
O型のくせに几帳面なところのあるハナが、自分の服を鞄にしまわずに放っておくなんてあり得ない。
オレがさりげなくレンの隣に座った、その時だった。
香ってくる、甘ったるい匂い。
ハナが昨日も付けている、彼女のお気に入りの香水だ。
明らかにおかしい。
……この状況。
考え込んでいると、レンのシャツからチラリと見えたのは無数の赤い痕。
チラリとゴミ箱を覗くと、無数の丸められたテイッシュに混じって、避妊具を包む包装のゴミがあった。
眠気でボーッとしていた頭が、こんなことでハッキリしてきた。
信じたくなかったが、やはり、レンがハナを抱いた。
……それしか考えられない。
眉間にシワが寄るのが、自分でもハッキリと分かった。
……見慣れない風景。
見渡す限りパソコンばかりということは、ここはエージェントルームのようだ。
そして、オレの回りには大量の鞄。
今、レンの家にいる男性社員みんなの着替えを持ってすぐ戻るつもりだった。
しかし、オレも疲れ切っていたようでエージェントルームの床で寝てしまっていたみたいだ。
オレはレンに電話してその旨を伝えた。
女性専用更衣室で同じように寝ていたらしい明日香さんを起こした。
彼女の運転は期待できそうにない。
眠気覚ましがてら、歩いていくことにして、エージェントルームを出た。
まだ完全に眠気が覚めていないせいか、足取りが重い。
いつもの倍の30分ほどかかって、ようやくレンの家に着いた。
出迎えてくれた巴さんに着替えを渡す。
巴さんにオレの兄の惚気を聞かされたが、話半分で聞き流して、レンの部屋へ向かった。
「レン、起きてるか?」
そう声をかけ、ドアを開ける。
レンは普通に起きていた。
時差ボケ等は心配ないようで、それは一安心だった。
ここに居ないハナは今、シャワーを浴びているという。
……オレが着替えを持って来るタイミングが遅かったから、仕方ないか。
……だが、何かがおかしい。
部屋をぐるりと見渡してみる。
……レンかハナのどちらかが布団で寝た形跡はない。
ということは、一つのベッドで寝たのか?
頭の中を嫌な妄想ばかりが駆け巡る。
思えば、昨日エージェントルームに着替えを取りに行くと告げてレンの部屋を覗いたときがあった。
その際は、ベッドがキレイに整っていた。
だが、今はシーツもそれが嘘のように乱れているし、掛け布団も床に落ちてしまっている。
ハナもレンも、寝相は悪いワケではない。
しかも、掛け布団からは花柄の布地が顔を覗かせている。
昨日、ハナが着ていた服の柄だ。
O型のくせに几帳面なところのあるハナが、自分の服を鞄にしまわずに放っておくなんてあり得ない。
オレがさりげなくレンの隣に座った、その時だった。
香ってくる、甘ったるい匂い。
ハナが昨日も付けている、彼女のお気に入りの香水だ。
明らかにおかしい。
……この状況。
考え込んでいると、レンのシャツからチラリと見えたのは無数の赤い痕。
チラリとゴミ箱を覗くと、無数の丸められたテイッシュに混じって、避妊具を包む包装のゴミがあった。
眠気でボーッとしていた頭が、こんなことでハッキリしてきた。
信じたくなかったが、やはり、レンがハナを抱いた。
……それしか考えられない。
眉間にシワが寄るのが、自分でもハッキリと分かった。