ボーダー
〈レンside〉
高校に入って入って初めての体育祭だ。

アメリカにはそもそも体育祭なんてものがなかったから、なんだか新鮮だ。

オレは、最後の方の種目、"色別対抗リレー"
に出る。

その前にはハナと愛実ちゃんの"障害物競争"、
ミツの"借り物競争"が控えている。

最後の見せ場、
頑張らなきゃな。

……え?

何でオレに決まったかって?
50m走で5分を切るタイムで走れたから。

体力テストの一環で行われたハズの50m走の結果が、体育祭の選手決めにも影響するなんて思ってもみなかった。

だけど……
選ばれたからには、やってみせる。
1位になってみせる。

そんな決意の中迎えた本番当日。

借り物競争でミツが

"好きな人"

って書かれた紙を引いてた。
そして迷いなくハナのもとへ来てて。
……ミツ、すごいよな。

オレの方は、今ここに、ハナとメイがいたとしたら……迷わずハナのもとに行けるだろうか。

多分オレは……行けない気がする。


メイのもとに……行くだろう。


オレ……好き……なんだよな。
メイのこと。

「次……だろ?
レン。」

ミツの声で……我に返る。
あぶねぇ。

「ああ。
任せとけ。
ミツが1位でゴールしたバトン、オレがしっかりつないでやるよ。」

ミツが1位でゴールしたんだ。

「このままの流れで、
オレも1位でゴールする!
見とけよ!」

オレは、選手の待機ゲートからスタート位置に向かった。

最初の選手を早々と抜かして、かなり早い段階でトップに立った。
一瞬だけ追い付かれそうになったものの、急速にスピードを上げて引き離し、
後半の方にはオレだけがトップを独走している状態になった。

そしてそのまま1位でゴール。


なんか……意外にあっけなかったな。

高校最初の体育祭は赤組の優勝で幕を閉じた。

いつか、メイに会ったときの土産話にするか。

あの子は、どんな反応をくれるかな?
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