ボーダー

文化祭

……高校に入って初めての文化祭1日目。

劇が無事終了。

ハナ、劇の後ESS部の映画上映の担当だってこと、ゼッタイ忘れてるだろう。

観客の一人、しかも男と、何やら楽しそうに話している。
ソイツにハナを連れて行かれた。

何……話してんだよ。

ハナが連れて行かれたのは、1Fの階段脇にあるガレージ。
おかげで、追跡するのにかなり苦労した。

そこで聞こえた、まさかの告白。

「あのさ……突然なんだけど。
俺……ハナのこと……好き……なんだよね。」

「ごめんね。
私……好きな人がいるから、和貴くんの気持ちには応えられない。」

……誰だよ。
誰なんだよ、ハナ。

その好きな人って……

……レンなのか?

本当にレンだったらオレ……ハナを好きでいていいのかよ。

……しばらくオレ、ハナとレンの2人と、まともに会話できそうにないな。

ハナの言動が……何もかも信じられねぇよ。

……合唱部の発表は、ハナに気付かれないように隅の方で聴いていた。

一生懸命歌ってて、愛らしかったなあ。

レンの放送部のラジオドラマを聴いて、1日目は終了。

2日目。

……文化祭前のHRで、強い視線を感じて振り返ると、ハナがオレの方をじっと見ていた。

オレはハナから、ゆっくりと……視線を逸らした。

ハナに気付かれないようにそっと様子を伺う。

彼女は、今にも泣きそうな顔をしていて、少しだけ胸が傷んだ。

午前中はいろいろ回って、午後は人手が足りなくなったというので、クラスを手伝って、文化祭は終了した。
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