ボーダー
〈真side〉

夕食の時間が終わって、スピーチ練習の時間も終わった。
ボクたちのクラスの時間になったからみんなで大浴場に行こうとしたら、先生に声を掛けられた。
夕食会場にケータイの忘れ物があったから、見覚えがある人がいないか聞いておいてくれ、ってことで。
あれ?
このケータイ……麻紀ちゃんのだ。

可愛いくまのマスコットには見覚えがある。
というか、ボクが麻紀のためにゲーセンのUFOキャッチャーで獲ったやつだ。
忘れるはずがない。

お風呂から上がったら、麻紀ちゃんのとこ、行こ!

まったく……一成くんったら。
お風呂の中に飛び込んでたとこ先生に見られて怒られてたし。
いくら初恋の友佳ちゃんと無事に付き合えたからって、浮かれすぎでしょ……

レンくんと優くんも、一成くんまで加わってお湯かけあって遊んでた。

「無事に俺も友佳を彼女に出来たし、優もだよな?
良かったな、お互いに初恋の相手を彼女に出来て。」

「まったくだ。
オレは、ハナっていう幼なじみで初恋の相手を無事にGetできたからな。

……照れたけど、もう、何度かキスは済ませてあるからな。
意地悪してディープなヤツも。
好きなヤツには意地悪したくなるんだよ。

可愛すぎてどうにかなるかと思った。

さて、真とレンだけだぞ?
このインキャンでカップル出来てないの。
まあ、レンは国際遠距離恋愛中だからな?」

「マジかよ、ミツ。
どうやったらいきなりそんなチュー、出来るんだよ。
俺なんて、可愛すぎて優しいヤツ2回が限界だったぞ……
教えろチクショー!

レンもズルいぞ!
噂によるとその遠距離恋愛中の彼女、スタイル抜群で胸もかなりあるって話じゃんか!

お前らズルすぎだろ!」

一成くんがそう言って、優くんとレンくんにお湯を掛けて、2人が応戦した感じ。

「胸なんて、いざ、するときに優しく揉んでやればデカくなるぜ、そこはお前の仕事だろ、一成。」

「まぁ、そうだな。」

「ってか、お前ら、経験済みかよ!
またまたズルいぞ!」

ボクも男子だけど、男って好きだよねぇ、そういうネタ。

まあ……でも、ボクもその話の流れで好きな人を言ったからね……
麻紀ちゃんだ、って。

「やるねぇ、真。
麻紀ちゃんなら、結婚した後にいい奥さんになるじゃん?
いいよなぁ。
家庭的で気が利く奥さん持てること確約、ってちょっと羨ましいわ。」

一成、それ、大事な自分の彼女ディスってるよね?
後で聞いたら怒られるぞ……

お風呂から上がると、ボク以外の3人が怖い教師から呼び出されてた。

ボクは、ちょっとその間に麻紀ちゃんに会いに行って来よ!

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