素敵すぎる上司
サンドイッチとおにぎりとお茶、それと私用におやつを少し買い、軽い足どりで職場に戻ろうとしたら、中から話し声がして、思わず私は足を止めた。


聞こえたのは、女性の声だったから。


「困ります。こんな所へ来られたら」


「だって、拓哉さんが会ってくださらないから、仕方なく押しかけました」


「貴女とのお付き合いは止めにしようと、はっきり申し上げたはずです。ですから、もう会う必要はないはずです」


「わたくしは納得できません。父もカンカンに怒っています。わたくしと別れる本当の理由を伺うまで、貴方を許しません。わたくしも、父も」


話の相手は香取さんの、元カノ？


そっと中を覗くと、その女性の横顔が見えた。


ピンと張った背筋に、ナチュラルに染められた長い髪が綺麗に流れている。香取さんを少し見上げた横顔は、鼻が高くて綺麗な形をしている。


化粧は濃いめだけど、ケバい感じではなく、いかにもゴージャスな令嬢という感じだ。

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