素敵すぎる上司
次の日、涼は無事に退院した。

そして週が明けて、私は出勤を再開したんだけど……


覚悟はしていたけど、拓哉さんと顔を合わせるのは辛かった。


拓哉さんは、仕事の事なら以前と変わらず接してくれた。でも、仕事以外の話は一切しなくなった。


仕事中は、淡々と仕事をすれば何とかなったけど、お昼ご飯の時が一番辛かった。


拓哉さんと無言で食べる時間は、まるで拷問のようだった。


一人で食べる、と言いたかったけど、そんな事すら言い出せずにいた。


蘭子さんとの婚約は、どうなったんだろう……

とても聞ける雰囲気ではなかったが、郁美の身が掛かっている。


私は勇気を振り絞り、聞いてみる事にした。


「あの……」


「何?」


「蘭子さんとの婚約は……」


「気になる?」


「ええ、まあ」


「俺も知らないんだよ。あの後、お袋からは何も連絡がないんだ。キャンセルしろって言ったんだけどな」


「あの……前にも言いましたけど、蘭子さんは香取さんに相応しい人だと思います」


バン!


「きゃっ」


拓哉さんが、いきなりテーブルを叩いて立ち上がった。


「おまえは、そんなに俺と藤堂蘭子をくっつけたいのか!?」


「それは……」


「分かったよ。おまえの望み通りにしてやるよ!」

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