素敵すぎる上司
ヘアメイクサロンでしっかりメイクしてもらった私は、私であって私でないみたい。


「お姉ちゃん、素敵!」


「かなりイケてるよ、姉貴」


「そ、そうかなあ」


「さあ、乗り込むぞ」


乗り込むって、どこへ?


涼がタクシーを停めた。タクシーに“乗り込む”って事?


涼が運転手さんに告げた行き先は、都心の一流ホテルだった。


最近、そのホテルの名前を何かで見た覚えがある。何だったかな……


タクシーに揺られながら、ぼんやり考えていたら……


「あ、思い出した!」


「何だよ、びっくりするじゃねえか」


「ごめん。これから行くホテルで、香取さんの婚約披露パーティがあるのよ?」

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