俺様と奏でるハーモニー
確かに引越し作業向けではなかったんだけど、その日は職員の着任歓迎セレモニーもあって、指揮を振らなくちゃいけなかったから、その格好だったのよ。
他の先生達と違って、わざわざこのために呼んだ生徒を家に帰さなくちゃならなかったから、着替える時間もないまま、引越し作業に借り出されたの。
それをいきなり、チャラチャラしてるなんて言われて、結構傷ついたわ。
……修さん、当然覚えてるでしょう?
車に乗り込んですぐ、言われた言葉は。
「最初に会った日に、それ、着てたよな。
……すごく、似合ってた。
ホント、ガキみたいにドキドキしながら引越し作業をしたよ。
何ていって話しかけようかって、そればかり考えてた。
だけど、秘密にしようと思ってた『楽器』のことを聞いてきただろ?
それでつい、余計なことを言っちゃったんだよな。
色々と、見た目だけで判断してさ。
でも、最初の夜に言ったのは本当だから」