俺様と奏でるハーモニー
大急ぎで生徒を帰して、音楽室の施錠を確認していた時。
修さんがハードケースを持って入ってきた。
「由奈、今からここで合わせよう」
「あれ、修さんのお家じゃなくていいんですか?」
「そりゃあ、俺の家のほうがいいけれど、このままだと由奈が過労で倒れる」
「……確かに、今朝は二日酔いで倒れそうでしたけど、そんなに疲れてはいませんよ」
二日酔いさえなければ、元気なんだけど。
「ダメだ。俺の家だと、もれなく二種類練習しなきゃならなくなるぞ。
毎日それだと、絶対コンクール前に倒れるな」
……つまり、ああ、そういうことですかっ!!
昨夜の自分の行動を、心の底から後悔したわっ!
「わかりました。それじゃあ、ここでやりましょう」
練習室ではなく、音楽室のグランドピアノで。
二人っきりで練習室にいるところを見られるのは、ちょっと問題ありだから。