俺様と奏でるハーモニー


なんで私がこの人の家に行かなきゃならないのよ!


「打ち合わせなら音楽室でできると思いますけど?」


五十嵐先生……もとい、五十嵐さんはまた私をにらみつけた。


「こんな天気の悪い日に、わざわざ俺を学校まで往復させるのか!?

しかも尺八抱えて!! 竹、割れたらどうしてくれるんだよ!」


そっか、尺八って、竹だもんね。


乾燥とか湿気はダメなんだっけ。


引越しの段ボールに張られていた『ワレモノ』のシールを思い出した。


あの楽器って、実は尺八だったって事なの?


「わかりました。こちらからうかがいますけど……変なこと、しないでくださいね!」


「それはお前しだいだな、由奈」


な、名前の呼び捨てなんて認めてないわよ、私!


しかも、お前しだいって、何!?


< 16 / 215 >

この作品をシェア

pagetop