俺様と奏でるハーモニー
なんで私がこの人の家に行かなきゃならないのよ!
「打ち合わせなら音楽室でできると思いますけど?」
五十嵐先生……もとい、五十嵐さんはまた私をにらみつけた。
「こんな天気の悪い日に、わざわざ俺を学校まで往復させるのか!?
しかも尺八抱えて!! 竹、割れたらどうしてくれるんだよ!」
そっか、尺八って、竹だもんね。
乾燥とか湿気はダメなんだっけ。
引越しの段ボールに張られていた『ワレモノ』のシールを思い出した。
あの楽器って、実は尺八だったって事なの?
「わかりました。こちらからうかがいますけど……変なこと、しないでくださいね!」
「それはお前しだいだな、由奈」
な、名前の呼び捨てなんて認めてないわよ、私!
しかも、お前しだいって、何!?