俺様と奏でるハーモニー
でもね、私の場合はここで頑張っても何の得にもならないわけよ。
校長の覚えがめでたくなっても、どうせ次は田舎に飛ばされるんだし。
全く、自分の娘の結婚式がどんだけ大事なのかわかんないけど、巻き込まれるこっちの身にもなって欲しいもんだわ。
余興なんて、いつもの教職員合唱でいいじゃないの!
適当に『世界にひとつだけの花』でも歌ってやるわよ!
それこそ、五十嵐さんにでも『キムタク』役やらせときゃいいじゃない。
だいたい、校長の娘って私より若いのよ!
これがムカつかずにいられますかって!!
ついにアラサーとなった独身音楽教員なんて、みんななかなか手ぇ出してこないのよ。
すぐ『結婚』って言い出すと思ってるらしくてさ。
……事実、すぐにでも結婚したいとは思うけど。
そんな私に手を出そうとしている危険な狼なんて、一匹しか知らないわよ。
しかもそこへ乗り込まなきゃならなくなった私が今度は子羊ちゃん?
……誰よ! 子羊の年齢制限越えてるなんて言った奴!