俺様と奏でるハーモニー


やっとみんなのところを回った時には、もう余興開始時間の15分前!


食べるのは諦めて、酔いを少しでも醒まそうとちょっと式場から出てみたら。



……紋付袴姿の新郎、じゃなかった。


尺八を抱えた、凛々しい袴姿の修さんがいた。


驚く私を見て、してやったりの表情を浮かべている。


「普通、尺八を吹く時っていうのは、この格好なんだよ。

最初からこんな姿でいたら、どっちが新郎かわかんなくなるだろ?」


「だからこんな大荷物だったんですね。

……驚いちゃった! とっても似合ってます」


私も、和服萌え、かもね。


切れ長の目、シャープな顔立ちの修さんは、時代劇が似合いそうなタイプだもん。


「俺さ、実は袴で人前に出るの、すっげー苦手なんだよな。

トラウマになってるんだけど、聞いてくれるか?」


袴でトラウマって、何?


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