俺様と奏でるハーモニー
策略家が腕時計を見ながら言う。
「そろそろ、余興の時間だろ?
ちょっと覗いてみよう。校長、へべれけになってなきゃいいけど」
ドアを開けると、すぐ司会者のブースになっている。
進行状況を聞いてみると、もう準備をしておいてほしい、との事。
グランドピアノの蓋を開けて、私はその後ろにあったエレクトーンの電源もONにする。
えっと、ボイスは上鍵盤がこれで下鍵盤はこっち、リズムはこれね。
よし、準備完了!
司会者と修さんに合図を送る。
司会者からの言葉で、余興が始まると伝えられ、各テーブルを回っていた人達も、とりあえず席に着く。
打ち合わせどおり、修さんがマイクを握り、話し始める。
「私たちの余興を始める前に、是非皆様にお聞かせしたい曲があります。
……校長先生、突然ですみませんが、どうぞピアノの前までお越しください」
校長先生、驚きながらもちゃんと出てきてくれたわ。
ここでピアノを弾くことを断るなんてできないわよね、その性格では。
すかさず私が校長先生とこっそり打ち合わせをする。
校長先生は快く承諾してくれたわ。
……実は、娘の結婚式に弾きたかったのかもね。