俺様と奏でるハーモニー
修さんが話を続けている。
「……という訳で、校長先生のもと、職場内でご結婚されたカップルは、私達を含めて7組だそうです。
幸せな結婚生活を送っている7組の夫婦に共通していることがあります。
……それは、校長先生が演奏してくださった、この曲を聴いていることです。
本間先生と校長先生のお嬢さんは、職場結婚ではないので、もしかしたらまだ聴いていないかも知れません。
余計なおせっかいかと思いましたが、是非、こちらへお集まりの皆様にも聴いて頂きたく思いました。
お二人の末永い幸せが、これできっと確約されることになると思います。
校長先生、よろしくお願い致します」
エレクトーンのスイッチを押して、パーカッションの音が式場に鳴り響く。
校長先生のピアノは、この間よりもっとなめらかに聴こえる。
そっか、自分の娘のために弾くんだもんね、気持ちの違いが演奏に現れるのかも。
私のエレクトーンとピアノが上手く絡まって、絶妙なハーモニーを奏でる。
会場の雰囲気が、一気に変わるのを感じた。
『聴く』ことにみんなが集中しているのがわかった。
……だって、花嫁も感激して泣いてるみたいだし、ね。
やってみて、良かったかもしれないわ。