俺様と奏でるハーモニー
エンジンを切って、まずは自分の仕事道具だけを持って、五十嵐さんの家に行く。
……カバンだけは絶対に車に放置できないから。
この中には閻魔帳と呼ばれる『教務手帳』が入っていて、生徒の成績が書き込まれているの。
万が一、車上荒らしにでも遭ったら、私のお先真っ暗よ!
まだまだ雨は降り続いているので、車の中で傘を開く準備をしつつ一気に外へ出て走る!
インターホンのボタンを押す。
『はい』
「芹沢です。早く開けてください!」
『えらい積極的だな』
違うわよ! という前に、ドアが開いた。
Tシャツにジャージというラフな姿のイケメンが私を中に引っ張った。
「びしょ濡れだな。とりあえず早く入れ」