俺様と奏でるハーモニー


その3つのうちの一番大きなレッスン室は、アップライトが一台置いてある。


初めて練習するときは、絶対ここで弾くことにしているの。


……豆拾ってるようなピアノなんて、私のプライドが許さない!


さて、早速練習開始。


ミ・シレミラシラミ……


うん、やっぱり、琴の曲をピアノで弾こうとすると、ほとんど片手でオッケー。


後は五十嵐先生と合わせて、テンポや間の取り方、バランスを考えて練習しなくちゃね。


膝の上に置かれたままの左手が、ちょっと寂しいわ。


普段、片手だけで弾く、なんてことはほとんどないもの。


五十嵐先生と打ち合わせする時に、ちょっとアレンジしてもいいか聞いてみよっと。


何しろ彼は師範ですから。


しかし、意外だったわ、彼が尺八の師範っていうのが。



空き時間が終わるまで、私は頭の中で尺八のパートを思い浮かべながら練習した。

< 70 / 215 >

この作品をシェア

pagetop