俺様と奏でるハーモニー
その3つのうちの一番大きなレッスン室は、アップライトが一台置いてある。
初めて練習するときは、絶対ここで弾くことにしているの。
……豆拾ってるようなピアノなんて、私のプライドが許さない!
さて、早速練習開始。
ミ・シレミラシラミ……
うん、やっぱり、琴の曲をピアノで弾こうとすると、ほとんど片手でオッケー。
後は五十嵐先生と合わせて、テンポや間の取り方、バランスを考えて練習しなくちゃね。
膝の上に置かれたままの左手が、ちょっと寂しいわ。
普段、片手だけで弾く、なんてことはほとんどないもの。
五十嵐先生と打ち合わせする時に、ちょっとアレンジしてもいいか聞いてみよっと。
何しろ彼は師範ですから。
しかし、意外だったわ、彼が尺八の師範っていうのが。
空き時間が終わるまで、私は頭の中で尺八のパートを思い浮かべながら練習した。