霊務3
【霊務-17】






フワリ…

フワリ…







いつもの
知っている道を
歩いているが、

いつもと同じ
感覚ではない。









まるで、
浮いているような感覚。


通行人が
すれ違いの時、
誰も避けようとしない。


友達とよく来た
ケーキ屋さんの
ウィンドウガラスに、
自分の姿が映らない事…









本当に
自分はもう死んだんだと、
思い知らされる。









(誰も私を
見てくれないや…)






そんな、
少し寂しくなるような感覚。







普段とまるで違う情景を
目にしながら、
里子は自分の家の
前までやってきた。









辺りに漂う悲しげなオーラ。

その静けさで、
家まで寂しく見えた。









「お父………さん…」









キュッと
切ない思いを秘め、

開けられないドアを
霊体は透き通って行った
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