霊務3
【霊務-18】






「ただいま…」








そう言いたくなった。


もう誰も、
返事をしてくれないであろう
玄関で。









静けさが響き渡り、
里子は家に上がった。









「お父さん…?」








多分、
ここに居ると思った
畳の部屋を、
ソッと覗いてみた。









案の定
そこに父の姿があり、

ちょうど
仏壇に向かって
正座をしている所だ。









何も言わずに、
ただ仏壇を眺めている。








当たり前のごとく、
父は悲しみにうち負かされ
号泣してるかと思われた。









それは
母だけでなく、
自分の1人娘も失い、

たった1人
この大きな家に残され、
孤独を感じてる
ハズだからだ

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