霊務3
【霊務-19】






しかし、
父は違っていた。







目に泣き腫れた後もなく

むしろ凛々しささえも
感じさせるような趣で

真っ直ぐ仏壇を
見つめていた。









その姿に
何か物言えぬ感覚が、

自分の中を
突き抜けた。









すると次に父は
手元にあった
線香を立て、

再び顔を上げた。









「里子…
聞こえるかい…?」









!?








今……何て…?








私がここに居るの…


分かるの…?









いや、
そんなワケはない。








普通の人間に
見習いレベルの里子が
見えるハズもない。









これはただ、
『たまたま』
そう言ってるだけに
過ぎない出来事だ
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