霊務3
「託された願い-3」







「さてと…」










里子が
遠くに離れていったのを
確認出来た大男は、
ゆっくりと振り返った。










「出て来たらどうだ…?

そこのネズミよ」










何もない所に声をかける。








………









じっと見ていると、

女の笑い声と共に
黒い影が現れた。










「フフ……

気付いてたの。

なかなか出来るわねえ」










姿を見せたのは、
あの四獣霊の亀咲。


相変わらず、
妖艶な笑みを
浮かべている。










「…何故見逃した?」










そう大男は言うと、
亀咲は更にクスクスと
笑った。










「あーら
それも気付いてたのね…

別に見逃した
ワケじゃないわ。

どーせあの子も…
いえ、全ての霊には
死んでもらうんだから、
最後の悪あがきを
させてやろうと
思っただけよ」











里子と居た時には
既に亀咲は近くで
息を殺していた。









大男はそれに気付き、
自分の闘いに
里子が邪魔なだけなので、
あえて
選択の間の警護を任せた。









それを見逃したのは、
亀咲の単なる
気まぐれでなのである
< 217 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop