霊務3
【悪魔とその片腕─60】







『里子~。

あんたさぁ、
もう少し
シャキッとできないの?

優柔不断なんだから~』











生きてた頃、
友達とのランチの
何気ない会話。











今になって、
ふっと思い出した。











優柔不断?

私が?











この現状で
そのシーンを思い出すのは、

きっと今自分は、
誰かの為に進んで
行動しているからであろう。











そんな人間らしい記憶に、
やっぱり自分は
本来ならこんな大役を
やらないんだろうなと、
少し可笑しく感じ取る。











『里子…』






『里子君…』






『里子ちゃん…』












みんなの笑顔が、
心の中に溢れ出て来る。











みんな……










里子は体に光を惑わせ、
トンっと前に跳ねた。










コアに何の抵抗もなく、
体が飲み込まれる。









……バチバチバチ!!








その高い霊力によって、
内部にて、
ブラックホール
崩壊症状が生まれた。










それと同時に、
失われていく霊体…












命を賭しての破壊…











息絶える最後まで、
彼女は彼女らしい
笑顔でいた。












こんなに…
優しくしてくれて…

『ありがとう』……
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