霊務3
「里子と愉快な仲間達-5」






しかしまあ、
こうして並んで歩くのも
久しぶり。



一年前……

初めて霊務し始めた頃も
ちょうどこんな風に
一緒に歩いて、
担当地区まで行った
記憶がまだ真新しい。









あの頃に比べたら
だいぶ臆病ではなくなり
霊の生活に慣れてきたが、

いかんせん
性格までは
変わりはしなかった。









引っ込み思案。

丁寧風。







良い意味だと
静かで大人らしい女性。

悪い意味で言うと
暗い人。








そう言うわけでは
全くないが、

明るい者と見比べれば
若干の暗いイメージが
あっても仕方ないものだ。









小さい頃は特にそう。


人見知りするし
性格上喋らないから、

よく男子に
「里子」ではなく
「貞子」と呼ばれていた。









本心は
暗いわけではないので、
そう言われても里子は
特には気にしなかったが、

今になってその性格は
考えなくては
ならない状況に
なってきたのかも
しれない。









そうこうしている内に、
オジサンの足は
ある敷地の前で止まった。









「ここで、
少し霊について
学んでもらうよ」








そう言うと、
里子は目の前の敷地を
眺めてみた
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