妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「百鬼夜行でも見たのでしょう。洛外だし、珍しいことではない」
巫女装束の呉羽の言葉は、従者らを安心させるのに十分だった。
皆あからさまに、ほっとした表情になる。
『・・・・・・百鬼夜行なんざ、そう見られるもんじゃないだろ。そもそも、そんなもんに遭った人間なんざ、相当な力に守られてないと、物の怪どもに攫われてあの世行きだ』
「百鬼夜行といえば、余計な質問は受けずに済むんだ。何となくでも、誰もが知ってる言葉だからな」
小声でそはや丸に言い、呉羽は牛車の後ろの簾を跳ね上げた。
「ここからは、車に乗せて頂けるのだろうか?」
「あ、はい。って、ええっ!」
随身の許可を得るや、呉羽は鴟の尾(とびのお:牛車の後ろに出ている棒)に足をかけ、ひらりと屋形内に飛び込んだ。
「では、よろしく頼む」
にっと笑って簾を降ろすと、呉羽は広い牛車の中で、ごろりと寝転がった。
『そいで呉羽。結局あのガキに憑いてたのぁ、何だったんだ?』
ゆるゆると牛車が動き出して程なく、そはや丸が口を開いた。
「憑いていたわけではない。皆に言ったように、何か見たのさ。百鬼夜行ではないがね」
『それだけかい。つまらねぇ』
そはや丸は興味を失ったように吐き捨てた。
呉羽は黙ったまま、簾越しに牛飼童がいるであろう方向を睨んでいた。
巫女装束の呉羽の言葉は、従者らを安心させるのに十分だった。
皆あからさまに、ほっとした表情になる。
『・・・・・・百鬼夜行なんざ、そう見られるもんじゃないだろ。そもそも、そんなもんに遭った人間なんざ、相当な力に守られてないと、物の怪どもに攫われてあの世行きだ』
「百鬼夜行といえば、余計な質問は受けずに済むんだ。何となくでも、誰もが知ってる言葉だからな」
小声でそはや丸に言い、呉羽は牛車の後ろの簾を跳ね上げた。
「ここからは、車に乗せて頂けるのだろうか?」
「あ、はい。って、ええっ!」
随身の許可を得るや、呉羽は鴟の尾(とびのお:牛車の後ろに出ている棒)に足をかけ、ひらりと屋形内に飛び込んだ。
「では、よろしく頼む」
にっと笑って簾を降ろすと、呉羽は広い牛車の中で、ごろりと寝転がった。
『そいで呉羽。結局あのガキに憑いてたのぁ、何だったんだ?』
ゆるゆると牛車が動き出して程なく、そはや丸が口を開いた。
「憑いていたわけではない。皆に言ったように、何か見たのさ。百鬼夜行ではないがね」
『それだけかい。つまらねぇ』
そはや丸は興味を失ったように吐き捨てた。
呉羽は黙ったまま、簾越しに牛飼童がいるであろう方向を睨んでいた。