妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「心配せんでも、報酬はそのうち、お姫さんが持ってきてくれるさ。面白いネタを、そのまま放っておくような奴でもないしな」
呉羽を抱えたまま、すたすたと歩くそはや丸を見上げながら、呉羽は、別れるときの多子の笑みを思い出した。
「そういえば、何だか多子様は、河原院に入る前と後のほうが、楽しそうだったなぁ。ま、中に入った後は、烏丸と隠れてたから、よくは知らんけど。お前とも仲良くなってたな」
「・・・・・・お前はほんとに、めでたいなぁ。ま、そこがお前の可愛いとこだ」
呆れたように言うそはや丸に、呉羽は首を傾げる。
「お前に可愛いなどと言われても、馬鹿にされてるようにしか聞こえん」
膨れる呉羽を笑いながら、そはや丸は歩き続ける。
呉羽を抱えているのに、足取りは軽やかだ。
「本当に多子様は、報酬を届けてくださるだろうか」
刀のくせに力持ちだなぁとか、この馬鹿力は妖刀故なのだろうかとか、どうでもいいことを考えながら、口は全く違うことを呟いた呉羽に、そはや丸は、軽く頷いた。
「届けてくれるか、お呼びがかかるか。いや、きっと届けに来るな」
自信たっぷりに、そはや丸は言い切る。
「何でだ?」
「車を、動かしたいからさ」
「?」
「車を動かさないと、右丸を連れて来れないだろ」
「ああ、右丸が来ないと、烏丸も来れないってこと」
烏丸は、呉羽が名をつけたので、呉羽が主となっている。
別に右丸を動かさなくとも、呉羽が呼べば烏丸は飛んでくるだろうが、姿はやはり右丸のままだろう。
右丸が動くのに、おかしくない状況を作るためと思い、呉羽は納得した。
そんな呉羽に、そはや丸は小声で‘違ぇーよ’と言い、それきり黙り込んだ。
呉羽を抱えたまま、すたすたと歩くそはや丸を見上げながら、呉羽は、別れるときの多子の笑みを思い出した。
「そういえば、何だか多子様は、河原院に入る前と後のほうが、楽しそうだったなぁ。ま、中に入った後は、烏丸と隠れてたから、よくは知らんけど。お前とも仲良くなってたな」
「・・・・・・お前はほんとに、めでたいなぁ。ま、そこがお前の可愛いとこだ」
呆れたように言うそはや丸に、呉羽は首を傾げる。
「お前に可愛いなどと言われても、馬鹿にされてるようにしか聞こえん」
膨れる呉羽を笑いながら、そはや丸は歩き続ける。
呉羽を抱えているのに、足取りは軽やかだ。
「本当に多子様は、報酬を届けてくださるだろうか」
刀のくせに力持ちだなぁとか、この馬鹿力は妖刀故なのだろうかとか、どうでもいいことを考えながら、口は全く違うことを呟いた呉羽に、そはや丸は、軽く頷いた。
「届けてくれるか、お呼びがかかるか。いや、きっと届けに来るな」
自信たっぷりに、そはや丸は言い切る。
「何でだ?」
「車を、動かしたいからさ」
「?」
「車を動かさないと、右丸を連れて来れないだろ」
「ああ、右丸が来ないと、烏丸も来れないってこと」
烏丸は、呉羽が名をつけたので、呉羽が主となっている。
別に右丸を動かさなくとも、呉羽が呼べば烏丸は飛んでくるだろうが、姿はやはり右丸のままだろう。
右丸が動くのに、おかしくない状況を作るためと思い、呉羽は納得した。
そんな呉羽に、そはや丸は小声で‘違ぇーよ’と言い、それきり黙り込んだ。