妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「お姫さんだって、言ってただろ。黙ってにこにこしてれば、その辺の奴らは放っとかないってな。ほら、あの左馬頭のおっさんだって、お前を寵愛してたし、頼長だって、容姿は褒めてたろ。昔っからお前にちょっかい出す奴らが多かったのも、見てくれがいいからだぜ」

「・・・・・・だから私は、男なんて嫌いなんだ」

目を閉じ、ため息と共に呉羽が呟いた。

「おいおい。俺だって男だぜ」

「お前は、物の怪だろ」

そはや丸は髪を梳く手を止め、呉羽を見下ろした。
微妙な感情が、僅かだがそはや丸の心に広がる。

「物の怪だったら、男でも平気なのか。烏丸は幼いが、俺は人の大人と変わらんぞ」

不満げに言うそはや丸を、薄目を開けた呉羽が見上げる。
しばらくじぃっと、そはや丸を見上げていたが、やがて呉羽は目を閉じた。

---馬鹿なことを、言ったものだ---

そはや丸は心の中で舌打ちし、髪を梳く手を止めたまま、呉羽を見下ろしていた。
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