妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「お姉さん、だぁれ?」
不意に呉羽の立っている渡殿(わたどの)の下から、声が聞こえた。
視線を落とすと、鞠を持った愛らしい少女が、不思議そうに呉羽を見上げている。
まだ振り分け髪だが、着ている物は一目で上物だとわかるものだ。
この屋敷の、主の娘といったところか。
とりあえず呉羽は、その場に膝を付いた。
屋敷の主の娘ということは、姫君ということだ。
失礼があってはならないということぐらい、いくら呉羽でもわかる。
「こちらの殿様に招かれまして、まかり越しました。お姫(ひい)様であられますか?」
‘外法師’ということを言ってしまっていいものか少し悩み、子供相手とはいえ、余計なことは言わないほうがよかろうという結論に達した呉羽は、丁寧に頭を下げた。
「多子(まさるこ)よ。ねぇ、あなた一人? 話し声が聞こえていたのだけど」
「迷ってしまったので、独り言でも言っていたのでしょう」
名乗られても、呉羽には名を聞いただけで誰の子かまではわからない。
内裏に仕える正式な陰陽師ならともかく、呉羽は内裏になど入ったこともないし、まして貴族でもない。
貴族に取り入る気もないので、権力者の人間関係や家族関係などを、細かく頭に入れているわけでもない。
要するに、貴族などに興味はないのだ。
不意に呉羽の立っている渡殿(わたどの)の下から、声が聞こえた。
視線を落とすと、鞠を持った愛らしい少女が、不思議そうに呉羽を見上げている。
まだ振り分け髪だが、着ている物は一目で上物だとわかるものだ。
この屋敷の、主の娘といったところか。
とりあえず呉羽は、その場に膝を付いた。
屋敷の主の娘ということは、姫君ということだ。
失礼があってはならないということぐらい、いくら呉羽でもわかる。
「こちらの殿様に招かれまして、まかり越しました。お姫(ひい)様であられますか?」
‘外法師’ということを言ってしまっていいものか少し悩み、子供相手とはいえ、余計なことは言わないほうがよかろうという結論に達した呉羽は、丁寧に頭を下げた。
「多子(まさるこ)よ。ねぇ、あなた一人? 話し声が聞こえていたのだけど」
「迷ってしまったので、独り言でも言っていたのでしょう」
名乗られても、呉羽には名を聞いただけで誰の子かまではわからない。
内裏に仕える正式な陰陽師ならともかく、呉羽は内裏になど入ったこともないし、まして貴族でもない。
貴族に取り入る気もないので、権力者の人間関係や家族関係などを、細かく頭に入れているわけでもない。
要するに、貴族などに興味はないのだ。