妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「お恥ずかしながら、あまりにこちらのお屋敷がご立派故、気を取られているうちに、迷ってしまった次第にございます」
「左様か」
ほほほ、と閉じた扇の向こうで笑い、頼長は、じっと呉羽を見つめた。
底光りするような暗さを秘めた目に射抜かれ、呉羽は珍しく目を逸らしてしまった。
嫌な目だ。
呉羽は無意識に、そはや丸を握りしめた。
「お主は、蓮台野に居を構える外法師だそうじゃな。葬送の地に住み着くとは、やはりそれなりの思惑あってのことか」
「いいえ。わたくしのような者は、死者と同じようなものであります故、蓮台野にて暮らしておる次第でございますれば、他意などございませぬ」
「したが、女子(おなご)の身で、かような地に住まうのは、並大抵のことではなかろう」
言いながら頼長は、呉羽の手元に視線を落とす。
「その大太刀は、護身用か」
「わたくしの、肉親とも呼ぶべきものです」
呉羽の言葉に、頼長の目が、面白そうにきらめいた。
「ほぅ? お主、刀の子か」
呉羽は何も言わず、ただ口角を少しだけ上げた。
そはや丸も、黙っている。
初対面の男に、自分の生い立ちをぺらぺら喋るほど、呉羽はお喋りではない。
「左様か」
ほほほ、と閉じた扇の向こうで笑い、頼長は、じっと呉羽を見つめた。
底光りするような暗さを秘めた目に射抜かれ、呉羽は珍しく目を逸らしてしまった。
嫌な目だ。
呉羽は無意識に、そはや丸を握りしめた。
「お主は、蓮台野に居を構える外法師だそうじゃな。葬送の地に住み着くとは、やはりそれなりの思惑あってのことか」
「いいえ。わたくしのような者は、死者と同じようなものであります故、蓮台野にて暮らしておる次第でございますれば、他意などございませぬ」
「したが、女子(おなご)の身で、かような地に住まうのは、並大抵のことではなかろう」
言いながら頼長は、呉羽の手元に視線を落とす。
「その大太刀は、護身用か」
「わたくしの、肉親とも呼ぶべきものです」
呉羽の言葉に、頼長の目が、面白そうにきらめいた。
「ほぅ? お主、刀の子か」
呉羽は何も言わず、ただ口角を少しだけ上げた。
そはや丸も、黙っている。
初対面の男に、自分の生い立ちをぺらぺら喋るほど、呉羽はお喋りではない。