妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
頼長は薄く笑って、視線は呉羽に据えたまま、扇をつ、と降ろした。
「ふふ・・・・・・。お主のことは、さるお人から教えてもらったのよ。蓮台野に、世にも美しい鬼女がおるとね」
「左馬頭(さまのかみ)殿ですか」
頼長は少し目を細めただけで、否定も肯定もしなかった。
だがこの大貴族に繋がるツテなど、相当限られている。
左大臣とは雲泥の差があろうが、左馬頭も藤原氏だ。
確かに何月か前から何回か、左馬頭の依頼を受けたことがある。
藤原氏といっても、この三条邸のような大邸宅ではなかったし、依頼もいつも大したものではなかったが、彼は呉羽のことをやたら贔屓にしている。
左大臣である頼長との繋がりは、政治絡みのどろどろや、一族内のどろどろに疎い呉羽には皆目わからないが、名もない呉羽をそこまで褒めるような貴族は、左馬頭ぐらいしか思いつかない。
呉羽はさりげなく、粟肌立った腕をさすりながら、何気ない風に言った。
「左馬頭殿には、てっきり恨まれていると思っておりましたが」
左馬頭が、呉羽を贔屓にするのは、奴が呉羽に言い寄っているからだった。
「ふふ・・・・・・。お主のことは、さるお人から教えてもらったのよ。蓮台野に、世にも美しい鬼女がおるとね」
「左馬頭(さまのかみ)殿ですか」
頼長は少し目を細めただけで、否定も肯定もしなかった。
だがこの大貴族に繋がるツテなど、相当限られている。
左大臣とは雲泥の差があろうが、左馬頭も藤原氏だ。
確かに何月か前から何回か、左馬頭の依頼を受けたことがある。
藤原氏といっても、この三条邸のような大邸宅ではなかったし、依頼もいつも大したものではなかったが、彼は呉羽のことをやたら贔屓にしている。
左大臣である頼長との繋がりは、政治絡みのどろどろや、一族内のどろどろに疎い呉羽には皆目わからないが、名もない呉羽をそこまで褒めるような貴族は、左馬頭ぐらいしか思いつかない。
呉羽はさりげなく、粟肌立った腕をさすりながら、何気ない風に言った。
「左馬頭殿には、てっきり恨まれていると思っておりましたが」
左馬頭が、呉羽を贔屓にするのは、奴が呉羽に言い寄っているからだった。