妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
何より呉羽は、男が嫌いだ。
鳥辺野で暮らしていた幼少期より、遊んでいる呉羽に近づいて、妙なことをしようとするのは、決まって人間の男だった。
人間の男というものは、異常に物の怪を恐れるくせに、人間の女には悪鬼のように襲いかかる。
普段偉そうにしているくせに、何の力もないような脆弱な物の怪に震え上がる腰抜けの男など、呉羽にとっては金蔓以外のなにものでもないのだ。
「わたくしは、つい先だって、左馬頭殿を殴りつけてしまいましたが」
呉羽は、左馬頭が己のことを左大臣に話したのは、きっと呉羽が左馬頭を殴る前なのだろうと思い、白状した。
しかし頼長は、大きく笑い声を上げる。
「おお、そうじゃ。あまりに愛おしい故、思わず抱きしめてしまったら、案の定脇息が飛んできたと言うておったわ。鬼女の逆鱗に触れてしもうた故、即刻許しを請いたいが、今しばし我慢しておるところじゃと。鬼女が天女に戻ってくれるまで大人しくしておかねば、いよいよ嫌われてしまうと、嘆いておったわ」
---馬鹿か---
呉羽は頭を抱えた。
そはや丸の忍び笑いが聞こえる。
「それでわしも、その術者をぜひ見てみたいと思い、お主を召してみたわけじゃ。なるほど、なかなかに見目良い娘じゃ」
呉羽は眉間に皺を刻んだまま、首を傾げた。
己の顔の造形など、普段主に物の怪しか相手にしない呉羽には、わかりようもない。
鳥辺野で暮らしていた幼少期より、遊んでいる呉羽に近づいて、妙なことをしようとするのは、決まって人間の男だった。
人間の男というものは、異常に物の怪を恐れるくせに、人間の女には悪鬼のように襲いかかる。
普段偉そうにしているくせに、何の力もないような脆弱な物の怪に震え上がる腰抜けの男など、呉羽にとっては金蔓以外のなにものでもないのだ。
「わたくしは、つい先だって、左馬頭殿を殴りつけてしまいましたが」
呉羽は、左馬頭が己のことを左大臣に話したのは、きっと呉羽が左馬頭を殴る前なのだろうと思い、白状した。
しかし頼長は、大きく笑い声を上げる。
「おお、そうじゃ。あまりに愛おしい故、思わず抱きしめてしまったら、案の定脇息が飛んできたと言うておったわ。鬼女の逆鱗に触れてしもうた故、即刻許しを請いたいが、今しばし我慢しておるところじゃと。鬼女が天女に戻ってくれるまで大人しくしておかねば、いよいよ嫌われてしまうと、嘆いておったわ」
---馬鹿か---
呉羽は頭を抱えた。
そはや丸の忍び笑いが聞こえる。
「それでわしも、その術者をぜひ見てみたいと思い、お主を召してみたわけじゃ。なるほど、なかなかに見目良い娘じゃ」
呉羽は眉間に皺を刻んだまま、首を傾げた。
己の顔の造形など、普段主に物の怪しか相手にしない呉羽には、わかりようもない。