妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「したが、顔かたちが良いだけでは、わしは満足せんぞ。外法師なれば、その力が己を測る全てじゃろう」

「尤もな意見にございます」

「そこで、じゃ。ほれ、お主の今までの手柄を、簡単に話してみよ。左馬頭からの仕事は、奴がお主に会いたいがため、無理矢理作り上げた、でっち上げじゃ。そのようなものばかりでは、話にならん」

面白そうに頼長は、身を乗り出して扇を振り、呉羽に話すよう促す。

「と仰せられましても、わたくしは名も無き一介の外法師でありますれば、左大臣様のお耳を満足させられるほどの面白い仕事は、しておりませぬ」

「謙遜するでない。実際お主を招く前に、わしも少しお主についての情報を集めた。なるほど、確かに客の大半が地下人(じげにん)であったが、奴らの間では結構な人気のようじゃ。左馬頭だとて、初めに大量の物の怪に囲まれておったところを、お主に救われたのじゃろ? 大量の物の怪を、一瞬で斬り伏せたと言っておったぞ」

---あのジジィ・・・・・・----

実際は左馬頭は、頼長よりも年下なので、ジジィというには若すぎるのだが、呉羽にとってはどうでもいい。
男という括りで、老若皆一緒なのだ。

「まぁ、物の怪によっては、格闘になることもありますね」

ぶっきらぼうに言う呉羽に、頼長は、さらに身を乗り出す。

「ほぅ、格闘。そなた、女子(おなご)の身で、勝てるものか?」

「負けておれば、今ここにはおりませぬ」

「それもそうじゃ」

わっはっはと豪快に笑い、扇で膝を叩く頼長を、呉羽は少しうんざりした顔で眺めた。
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