妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「では巫女様」
「おいおい。お前、物の怪のくせに、墓場が怖いのか?」
普通に車を止めた烏丸に、呉羽は呆れた。
確かに北野で捨ててくれていいと言ったが、それは本当に右丸一人だった場合の話だ。
が、呉羽は童の顔を見て、ため息をついた。
「お前、右丸か・・・・・・」
「すみません。中に天狗を飼っているとはいえ、彼はまだ力がないものですから、やはり夜道は心許ないのです」
申し訳なさそうに言う右丸は、思い出したように、呉羽に頭を下げた。
「巫女様。私の中の天狗に、名を与えてくださったそうですね。ありがとうございます」
呉羽は車から降りながら、ああ、と呟いた。
「お前は、何故名を付けなかった?」
「名は軽々しく付けてはならぬと、兄上に言われておりますれば・・・・・・」
言いながら顔を上げた右丸は、呉羽と目が合うなり、赤くなって再び下を向いた。
『こいつ、色気づいてるわりにゃ、呉羽を夜道に投げ出すたぁ、腰抜けもいいとこだな』
そはや丸の言葉に、呉羽は右丸をじっと見た。
が、すぐに視線を逸らすと、懐から白い紙を取り出し、松明の灯りの下で手早く鶴を折って、軽く息を吹きかけた。
途端に白い折り鶴は、宙にふわりと浮き上がり、淡い光を放ちながら、ふわりふわりと飛んでいく。
「あ、あの。巫女様、それは・・・・・・?」
「灯り代わりだ。都の中じゃ、人に見られたら厄介だから、こういうことはできんが、ここまでくれば大丈夫だろ。じゃあな」
短く言うと、呉羽はとっとと鶴の後を追って、暗闇に姿を消した。
「おいおい。お前、物の怪のくせに、墓場が怖いのか?」
普通に車を止めた烏丸に、呉羽は呆れた。
確かに北野で捨ててくれていいと言ったが、それは本当に右丸一人だった場合の話だ。
が、呉羽は童の顔を見て、ため息をついた。
「お前、右丸か・・・・・・」
「すみません。中に天狗を飼っているとはいえ、彼はまだ力がないものですから、やはり夜道は心許ないのです」
申し訳なさそうに言う右丸は、思い出したように、呉羽に頭を下げた。
「巫女様。私の中の天狗に、名を与えてくださったそうですね。ありがとうございます」
呉羽は車から降りながら、ああ、と呟いた。
「お前は、何故名を付けなかった?」
「名は軽々しく付けてはならぬと、兄上に言われておりますれば・・・・・・」
言いながら顔を上げた右丸は、呉羽と目が合うなり、赤くなって再び下を向いた。
『こいつ、色気づいてるわりにゃ、呉羽を夜道に投げ出すたぁ、腰抜けもいいとこだな』
そはや丸の言葉に、呉羽は右丸をじっと見た。
が、すぐに視線を逸らすと、懐から白い紙を取り出し、松明の灯りの下で手早く鶴を折って、軽く息を吹きかけた。
途端に白い折り鶴は、宙にふわりと浮き上がり、淡い光を放ちながら、ふわりふわりと飛んでいく。
「あ、あの。巫女様、それは・・・・・・?」
「灯り代わりだ。都の中じゃ、人に見られたら厄介だから、こういうことはできんが、ここまでくれば大丈夫だろ。じゃあな」
短く言うと、呉羽はとっとと鶴の後を追って、暗闇に姿を消した。