妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~
「でもね、お姉さんに呼ばれた用事が終わったら、右丸に戻るじゃない。そのときも、おいらが右丸の意識を引っ張り出して、入れ替わるの。だから、人の意識と入れ替わったり、人の内に潜んだままで外の状況を窺ったりすることは、力がないと、できないと思うの」

「なるほどな。そういや、さっきもお前、俺と右丸のやり取りを聞いてたみたいだしな」

えへへ、と再度頭を掻く烏丸から視線を呉羽に戻したそはや丸は、腕組みしたまま口を開いた。

「だ、そうだぜ。つーことで、すぐに刀に戻っても大丈夫だ。どうする?」

「そうだなぁ」

呉羽はただ、ただの人間の右丸の前で、人がいきなり刀になるのは避けるべき、という考えで、そはや丸が烏丸に確かめただけだと思っている。

「とりあえず、しばらくはそのまま、人型でいてもらおうか。多子様も、人数が多いほうが、少しは安心でしょう」

屋敷にいるのが、ただの盗賊の類だった場合、そはや丸が人型のほうが、見た目的に、まだマシだ。
そはや丸を刀に戻してしまうと、女子(おなご)に子供二人という、何とも頼りない一行になってしまう。

尤も、そはや丸が人型であっても、見た目に迫力があるわけではないのだが。
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