チケットが運ぶ幸せ

分かり切っていた再会

*・。龍太郎。・*
――数か月後のコンサート

今日は、久しぶりの東京公演だけど、携帯落としたやつ今日は来てっかな…。

実は、俺前回の東京公演の時携帯落としたやつにたくさんファンサしてたっけなぁ…。

だから携帯落としたやつの席も覚えてるから顔も知ってるんだよな。


まぁ、あのとき知念くんから電話が来てほっとしたんだよなぁ…。

「龍太郎!!
ちょっと来てっ!!」
「なんだよぉ…。
知念くん」
「聞こえる?
来てくれてる皆の声」
「まぁ。」
「なんだよぉ!そっけないなぁ」

あたりめぇだろ?
あいつ来てるかどうか気になるんだからよ!!

…べ…別にあいつのこと好きじゃねぇし!!
気になってるわけでもねぇからな!!!

ただ、ちゃんと携帯受け取ったか気になっただけだし!!

「…郎?龍太郎!!」
「ん?何?」
「何じゃないよ!!!衣装に着替えないと!」
「あ、うん」
「龍太郎、今日なんだか変だよ?
熱でもあるんじゃないの?」
「大丈夫。
熱はないから」
「…ならいいけど」

そうだよ!
今はあいつの心配よりコンサートを無事に終わらすことだよ!!
あと1時間後開演かぁ…。


「はぁ…」
「何ため息ついてんの?」
「裕翔くん…」
「もしかして、恋の悩み?」

恋かぁ…。
恋…なのか、恋じゃないのかわかんねぇんだよなぁ…。

って違う違う!!

「違うよぉ!!
コンサート無事終わればいいなぁって!」
「え?コンサートの終わりってあと何時間あると思ってんの!?(笑)」
「そうだよね(笑)」
「ね、龍太郎、ちょっと」

…?
何だろう?

「やっぱり、恋の悩みでしょ?」
「だから、違うって!」
「嘘だ!
顔に嘘って書いてある!」
「ホントに違うから!!」
「俺、これでも勘いいんだよ!?」
「んじゃぁ、今回は裕翔くんの勘が外れたってことで(笑)」
「なんだよ、それ!!
ちょ…龍太郎!!」

俺はそそくさと裕翔くんとの2人きりという空間を抜け出したかったのかもしれない。

俺は恋をしてない。
ただ、携帯のことが気になっていたと思いたかったのかもしれない。



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