【短編】白雪
白い頬をそっと撫でる。
くすぐったそうに身動ぎしたけど、起きる気配はない。
「…雪奈」
頬に触れたまま、俺は囁いた。
胸をギュッと締め付けられるような感覚が襲う。
売り出し中の芸能人にとって、恋愛スキャンダルは絶対のタブー。
相手が俺みたいな奴だったらなおさらだ。
名前を売るために言い寄った。とか
俺を利用した。最後は捨てる。とか
きっと、雪奈の悪い方に噂は広がる。
雪奈は元々才能があるから、俺がいなくてもそのうち人気はでる。
今がそうだ。
本人の考えてる以上に、雪奈は人気がある。