【短編】白雪
*仕事* 雪奈
「ドラマ…ですか?」
井上さんの声が頭の中に響く。
事務所の社長室。
井上さんと一緒にソファーに座って、あたしは社長の話を黙って聞いていた。
「ああ。前から出ていた話なんだが、クリスマス特別ドラマで一気に売り出そうと思ってね」
社長はそう言って微笑んだ。
そうだ。
もうすぐクリスマスだった。
今11月だから、後一ヵ月。
雅人と一緒に……居れないだろうな…。
自然に零れる溜め息。
「白雪ちゃん?」
「あ!ごめんなさい!」
「いや。で、ドラマ出演はどうするかな?」
社長はにっこり笑うと言った。
「受けます!」
あたしは力一杯言う。
ドラマ出演。モデルで、しかも新人のあたしにそんな話がくるなんて!
こんなに嬉しいことないよ!!